名盤100選 17 ラモーンズ『ラモーンズの激情』 (1976)

ラモーンズの激情+8

ロックンロールは誕生から急速に進化を遂げ、新しい刺激を求めて3分間のポップソングの枠を超えて複雑化の一途をたどり、あるいは超人的な演奏技術を競い合い、あるいは歌詞はより文学的で高尚なものになったりした。70年代の半ばのことである。

でもそもそもロックンロールにそんなもの要るか? とそれまで「進化」と思われていた一切を「ムダ」として省いたのがラモーンズだった。
わたしはこれこそロックンロールが追い求めてきた(今も追い求めている)究極の理想形だと思う。
ラモーンズを聴いていると「ドラムってそもそもこうやって叩くためのものなんだよなあ」とか「ギターやベースってそもそもこうやって弾くべきものなんだよなあ」とか「歌詞なんてそもそも”あいつをぶん殴ってやれ、野球のバットでぶん殴ってやれ、オー・イエー”だけでいいんだよなあ」などと思う。

これほど愛おしいバンドは他にない。これほど余計なことを考えていない誠実な音楽は他にない。
わたしはラモーンズが大好きだ。これまで地球上に存在したロックンロール・バンドの中でいちばん好きだ。
ラモーンズを聴いていると、「僕はロックンロールが大好きです」とちょっと自慢げに言える気持ちになる。そんなことを言っても全然恥ずかしいと思わない、そんな気分になるのだ。

『ラモーンズの激情』は彼らのファースト・アルバムである。
わたしが20歳の頃に初めてラモーンズを聴いたのがこのアルバムだった。
14曲入りだが、CDプレーヤーに入れるとディスプレイに29分13秒と表示される。30分ないのだ。わたしはまずこれにシビれた。
1曲平均2分ちょっとの、なんのためらいもないロックンロールが、なんのためらいもなく14曲立て続けに演奏されて終わる。
最高だ、とわたしは思った。

実は今このアルバムのCDは、デモトラックが8曲プラスされて22曲入りとして販売されている。タイムは45分もある。
台無しである。
わたしはそもそもボーナストラックというものが嫌いだ。
アルバム未収録のシングル曲が入ってるならまだ許せなくもないが、デモみたいなアウトテイクなどまったく聴く気にもならない。
おまけが付いてればリスナーは喜ぶだろうと考えているなら、ほんとにレコード会社ってバカだなあと思う。

「トゥモロー・ザ・ワールド」で終わるからこのアルバムは素晴らしいと思えるのであり、そのあとに中途半端なアウトテイクが8曲も続くなんて興醒めもいいところだ。
残念ながら、このCDを買った現代の若者はわたしと同じような興奮を味わうことはないだろう。

最後のたたみかけるような3曲で最高潮に気分が高揚して終わり、シーンとなったときに「あれ、もう終わり?」とCDプレーヤーを見ると「29’13”」の表示。
「あれ、もう終わり?」なんて気持ちになるCDなんて滅多にあるものではない。
現在の、おまけだらけのCDでは、この感動を味わうことができないのだ、残念ながら。

コメント

  1. アバター ゴロー より:

    サイコーセラピーサイコーセラピー
    おっ。headfuckお久しぶり。

    サイコ・セラピーは人気ありますね。わたしの昔の同僚もこれが好きだったのを思い出しました。

  2. アバター headfuck より:

    私はこの10曲♪
    1. Psycho Therapy
    2. Blitzkrieg Bop
    3. KKK
    4. Chinese Rock
    5. R’n’R High School
    6. Rockaway Beach
    7. Sheena Is A Punk Rocker
    8~10. Do You Remember R’n’R Radio

    ……8曲だった(笑)