【映画】『ロケットマン』(2019 英米) ★★★☆☆

ロケットマン (字幕版)

【音楽映画の快楽】
Rocketman

監督:デクスター・フレッチャー
主演:タロン・エジャトン

『ボヘミアン・ラプソディー』でブライアン・シンガー監督が途中降板した後を継いだ、デクスター・フレッチャー監督による、エルトン・ジョンの半生を描いた音楽伝記映画。部分的にミュージカル仕立てになっている。

物語はド派手なステージ衣装のエルトン・ジョンが、アルコール依存症治療のミーティングに参加し、「僕はエルトン・ハーキュリーズ・ジョン。アルコール依存症だ。コカイン中毒で、セックス依存症。過食症。買い物依存症でマリファナが大好き。処方薬も。癇癪持ち」と自己紹介するシーンから始まる。

少年時代は、極端に子供に対して関心のない両親のもとで、愛情に飢えて育った。
こういう家庭環境は、子供の人生に大きな影響を及ぼす。
それはもう、間違いなく。

両親の愛情に飢えて育つと、いつまで経っても愛情に飢えたまま癒されず、たいていどこか偏って不安定な青春時代を送り、選択肢を誤り、失敗を繰り返し、傷だらけの人生を送ることになるものだ。
それはもう、間違いなく。
わたしが保証する。

エルトン・ジョンもやはり間違いだらけで傷だらけの人生に、ずいぶんと苦悩した様子が描かれている。
しかも彼はゲイであり、愛情に飢えて育ったのにさらに「生涯孤独」という烙印まで押されてしまうのだ。
絶望的になるのも理解できる。

シンガー・ソングライターとしては天才的で、アメリカで支持されて若くして億万長者になるが、そのお金で彼は〈お買い物依存症〉という新たな病気を患ってしまうのだ。

あはは。

笑っちゃいけないけれども。
億万長者も大変だ。

全体に、ミュージカル仕立ての映画なので、非現実的な描写もたくさんあって、どこからどこまでが本当なのかわからなくなる。だからわたしはミュージカルが苦手だ。

でもやっぱり、「僕の歌は君の歌(Your Song)」が出来上がるところは感動して、ちょっと泣けてきた。
わたしはこういう名曲が出来上がるシーンが好きなのだ。

ただ、レコード会社の社長がこの曲を聴いて初めてエルトンを褒めるシーンで、「ビートルズの『レット・イット・ビー』以来の名曲だ!」というセリフがあるのだけれど、なんとなく引っかかって、調べてみると『レット・イット・ビー』の発表は「僕の歌は君の歌」の発売より1カ月後だった。

これがあえての、メタフィクション的なユーモアだとしたらなかなか面白いのだけれど。

いや、いちゃもんつけてるわけではないのだけれど。