アレサ・フランクリン『レディ・ソウル』(1968)【わたしが選ぶ!最強ロック名盤500】#122

Lady Soul -Hq/Reissue- [Analog]

⭐️⭐️⭐️⭐️

【わたしが選ぶ!最強ロック名盤500】#122
Aretha Franklin
“Lady Soul” (1968)

このアルバムはまず、タイトルからしてカッコ良いな。

女性ソウル・シンガーの頂点に立つことを宣言しながら、「ソウル・クイーン」よりは上品で愛らしさもある。彼女は当時まだ26歳だったが、すでに風格充分でありながら、溌剌とした可愛らしさや女性らしい気品も兼ね備えた「レディ・ソウル」なのだ。

1968年といえば、ロックもソウルも疾風怒濤の勢いで進化を遂げていた頃だ。
ヒット・シングルを生産することだけが目的ではなくなり、ものすごいスピードで次々に音楽の新しい扉が開かれていった。

本作はその疾風怒濤時代のポップ・ミュージックの集大成のような内容になっている。黒人と白人の音楽の壁などなかったかのように自由に行き来する、当時最新のソウル・ミュージックであり、最先端のポップ・ミュージックでもある。

本作は1968年1月にリリースされた、アレサ・フランクリンのアトランティック移籍後3枚目のアルバムである。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 チェイン・オブ・フールズ
2 マネー・ウォント・チェンジ・ユー
3 ピープル・ゲット・レディ
4 ニキ・ホーキー
5 ナチュラル・ウーマン

SIDE B

1 愛する貴方を失くして
2 グッド・トゥ・ミー
3 カム・バック・ベイビー
4 グルーヴィン
5 エイント・ノー・ウェイ

冒頭からいきなり貫禄の歌声で背筋を伸ばされる、A1「チェイン・オブ・フール」は全米2位の大ヒットとなった。そしてキャロル・キング&ジェリー・ゴフィン作の「ナチュラル・ウーマン」も全米8位の大ヒットとなり、この2曲はアレサの代表曲となった。

さらにB1「愛する貴方を失くして」が全米5位、アレサの妹のキャロリン・フランクリン作のB5「エイント・ノー・ウェイ」も全米16位のヒットとなった。

A3「ピープル・ゲット・レディ」のような社会派のシリアスな歌も感動的に聴かせるし、ボビー・ジェントリーのA4「ニキ・ホーキー」やヤング・ラスカルズのB4「グルーヴィン」など、白人アーティストによるポップスも、アレサが歌うとこれ以上はない説得力で、ディープなソウル・ミュージックへと変貌する。

アレサは教会の牧師の娘としてメンフィスで生まれ、デトロイトで育った。母はゴスペル歌手だったが、両親が別居していたため、アレサは幼い頃から父の教会でゴスペルを歌っていた。

19歳のときにコロムビアからレコードデビューしたが、彼女の血統書付きのゴスペル・フィーリングは封印させられ、ジャズ風のポップスを歌わされた。

コロムビア時代はまったく売れず、1966年にアトランティック・レコードに移籍した。アレサはのちにこう語っている。

「アトランティックに移ったら、やっと私の好きなようにやらせてもらえた。それからヒット曲が出るようになった」

アラバマのマッスル・ショールズの凄腕ミュージシャンたちをニューヨークのアトランティック・スタジオに集結させて作った本作は、アレサがこだわりぬき、やりたいことを最大限にやった結果なのだろう。アルバムは全米2位の大ヒットとなった。

↓ グラミー賞の最優秀女性R&Bボーカル・パフォーマンス賞を受賞した「チェイン・オブ・フール」。全米2位の大ヒットとなった。

↓ キャロル・キングとジェリー・ゴフィンの夫婦コンビによる「ナチュラル・ウーマン」。全米5位のヒットとなった。

(Goro)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする