アレサ・フランクリン/ナチュラル・ウーマン(1967) 

LADY SOUL

【女子ロックの快楽】#12
 Aretha Franklin – (You Make Me Feel Like) A Natural Woman

メンフィスで生まれデトロイトで育つという、もし生まれ変わったらわたしもそんなふうに育ってみたいと思うほど、音楽的素養の形成には申し分のないエリートコースを歩んだアレサ・フランクリンは、61年にコロンビアからデビューしたときこそパッとしなかったものの、66年にアトランティックに移籍すると、その人気が爆発した。 

サム・クックと同様、ゴスペル育ちのせいか、歌うことはつねに神への祈りのような、真摯でスケールの大きな歌声を持っていた。 

この「ナチュラル・ウーマン」も収録されている名盤『レディ・ソウル』の大ヒットで、60年代後半には、オーティス・レディングと人気を二分し、まさにソウルの女王として君臨した。 

しかし、若い頃から備えていたその貫禄だけでなく、どこか可愛らしさがアレサ・フランクリンにはあった。
まるで少女が女王のティアラを悪戯っぽくかぶっているような、そんな両面を持っているところが彼女の最大の魅力だったと思う。 

 この「ナチュラルウーマン」は、全米8位の大ヒットとなった。 

あんたに会うまで、ウチの人生なんて最悪やったわ
でもあんたとおると、ウチは素ぅの自分でいられんねん
あんたはウチを、めっちゃええ気持ちにしてくれる
あんたのそばにおると、ウチ生きてるわぁって気持ちになんねんな

(written by Gerry Goffin, Carole King, Jerry Wexler)

というような歌詞だ。倖田來未みたいになっちゃったけど。
いや、倖田來未だってルーツをずっと辿っていけば、きっとアレサ・フランクリンに行き当たるに違いない。 

動画は2015年のもので、ケネディ・センター名誉賞の祝賀公演というものらしい。
客席で少女のように興奮している金髪の女性は、この曲の作者であるキャロル・キングだ。
彼女もまた受賞者として出席したのだが、大統領夫妻も見守る記念すべきステージで、明らかに大統領よりもグレイトな”女王”が、自らピアノを弾きながら、大昔に提供した自分の曲を歌ったことにさぞかし感激したのだろう。髪を振り乱し、我を忘れて泣きわめいている。

その、”ソウルの女王”は昨日、旅立った。 

数え切れないほどの、レディ・ソウルの子供たち、孫たち、ひ孫たちが、今も世界中で歌い続けている。
女王が遺した歌声も、いつまでも聴き継がれることを願おう。 

女王陛下に、最敬礼。