ヘヴィメタルの概念を変えた傑作 〜メタリカ『メタリカ』(1991)【最強ロック名盤500】#28

METALLICA

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【最強ロック名盤500】#28
Metallica
“Metallica” (1991)

1983年にデビューした米ロサンゼルス出身のバンド、メタリカは、猛スピードで複雑な曲を演奏する、スラッシュ・メタルの筆頭格だった。

しかし1991年8月にリリースされた5枚目のアルバム『メタリカ』(タイトルが無くジャケが真っ黒なので「ブラック・アルバム」とも呼ばれる)で彼らはスピードにこだわるのをやめ、楽曲の複雑さや大作志向を見直し、速弾きギターソロなどいわゆる古典的なメタルのお約束も捨て、シンプルでグルーヴを重視した方向性に大転換する。

そのきっかけとなったのが、直前のツアーで、プログレッシヴな大作志向の楽曲に観客が退屈していることに気づき、危機感を抱いたからだと言う。そこで次のアルバムでバンドが手本にしようと決めたのがAC/DCの『バック・イン・ブラック』だったというから面白い。だからブラック・アルバムなのかな。

そして当然ながら、本作がリリースされると、賛否両論が巻き起こった。全然速い曲がないし、速弾きもないし、なんなら美しいラヴバラードまである。ゴリッゴリのメタルファンから酷評されるのも無理はなかった。

メタリカのその「転向」の話題が音楽誌でもやたらと取り上げられたため、普段はヘヴィメタルをまったく聴かないわたしまでが気になり、このアルバムを買ったのがメタリカとの出会いだった。

わたしはこのアルバムが気に入った。ヘヴィメタルに対するイメージが変わったぐらいだった。AC/DCを手本にしたうんぬんは当時はまだ知らなかったので、オルタナティヴ・ロックの隆盛に刺激を受けて、それを手本にしたのかと思っていた。
どうやら少しちがったみたいだけれど、しかし時代の流れに沿った方向性へと転換出来たということは、リスナーたちの反応に敏感だったということなのだろう。

わたしはヘヴィメタルが苦手ではあるけれど、このメタリカだけは好感を持っている。

本作は否定的な反応などものともせず、キャリア初の全米・全英ともに1位を獲得し、全世界で3,000万枚近くを売り上げるメガヒットとなった。

先行シングルとしてリリースされた「エンター・サンドマン」は全米16位、全英5位のヒットとなり、メタリカの代表曲となった。グルーヴ感が強いそのカッコ良さから、メタルファン以外にも広く愛され、わたしもこの曲がメタリカで一番好きだ。

この動画は1991年にモスクワ郊外の空軍基地で開催された〈モンスターズ・オブ・ロック〉というフェスの映像だ。出演者はメタリカの他に、AC/DC、モトリー・クルー、ブラック・クロウズなどもいた。地平線まで見渡す限りの観客の数が凄い。推定で50万人以上と言われている。

ソビエト空軍の兵士が警備にあたる中で、観客が振っているアメリカ国旗が印象的だ。
ソビエト連邦崩壊の、2カ月前のことである。

(Goro)

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