プリンス/リトル・レッド・コルヴェット(1982)

1999

【80年代ロックの快楽】
Prince – Little Red Corvette

プリンス4枚目のアルバム『1999』からのシングルで、初の全米TOP10入りを果たした出世作である。
いかにも80年代ロックという、キラキラと輝く、チープな響きが素敵なサウンドだ。

20世紀の中でも80年代カルチャーというのは、やけに明るくて、大盤振る舞いで、幸福そうだけれど、どこか軽薄でインチキくさい気もする、そんなフェイク・ハッピーな時代だったような気がしてならない(国によっても事情は全然違うだろうけど)。

このプリンスはホンモノの天才であることは間違いないけれど、作品にはフェイクな香りも漂う。
表面は過激なほどポップだけれど、中の骨組みは異常に複雑で斬新な仕掛けのロボットを作る、マッド・サイエンティストみたいなアーティストだ。

この曲もそんな、博士が造りあげた人造の愛玩犬のように可愛らしいのに、目の奥を覗くと異様に複雑なメカであることが見え隠れしてうろたえる、未来から来たようなポップソングだ。

そしてこのPVでは、ド派手なサーカス団の団長みたいなプリンスが、チラリと見せる若き日のJBぐらいキレのいいダンスを披露するのに驚かされるのである。

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