≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その331
Van Morrison – And it stoned me
またまたわたしの溺愛聴盤、ヴァン・モリソンの名盤『ムーンダンス』より。
その前のアルバム『アストラル・ウィークス』はロックともジャズともスワンプとも言い難い、まるで新しい音楽ジャンルをひとりでつくってしまったような、斬新すぎてガチすぎて素晴らしすぎたため、まったく売れなかったそうな。
そのためこの3rdアルバム『ムーンダンス』では、路線は同じだけど、もうちょっとわかりやすいものにしようと考えたのではないだろうか。
それは見事に成功している。
彼はこのときたったの24歳だが、この熟成された歌声や、独特の世界を持った音楽をすでに完成しているのは驚くべきことだ。
やはり天才は違うのである。
アルバムの1曲目、この「ストーンド・ミー」はイントロなしでいきなり始まり、オーティス・レディングやザ・バンドを想起とさせるようなじんわりと沁みるメロディ、その素晴らしい声、そしてアコースティックなサウンドが美しいアレンジに、いつのまにかこのアルバムのディープで豊潤な夜の世界にずるずると滑り落ちていく。
そしてもう二度と抜け出せない。