No.476 スマッシング・パンプキンズ/シヴァ (1991)

Gish
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その476
Smashing Pumpkins – siva

スマパンはインディ・レーベルからシングルを2枚出した後、1991年8月にこのシングル「シヴァ」でメジャー・デビューした。
わたしはそこにいた。
彼らを待っていたのだ。

というのもおかしいが、当時はそんな気分だった。
毎月音楽雑誌3誌をむさぼり読み、アーティストのインタビュー記事や新譜のレビューを隅から隅まで読み、新しい音楽を探していた。
過去の音楽にも名曲はいくらでもあったけれど、そのときわたしが聴きたかったのは、名曲でなくてもいいから、同時代の空気とリアリティ、ロックが凄い勢いで変わっていく生々しい刺激を肌で感じて共感できるような、そんな音楽だった。

80年代はMTV映えのするロック全盛期が長らく続いていたが、ストーン・ローゼスやプライマル・スクリーム、ソニック・ユース、ダイナソーJrなどのブレイクによって様子が変わってきていた。
こんなことあるのかと思うぐらい、毎月のように新しいロックの波が押し寄せていた。
サーフィンなら伝説になるぐらいの大波がもうすぐそこまで来ているのも気づいていた。
わたしはそこにいたのだ。
1991年のことである。

1991年は次々に新しいロックの名盤が発表された。

1月 ジーザス・ジョーンズ『ダウト』
2月 ダイナソーJr.『グリーン・マインド』
3月 R.E.M.『アウト・オブ・タイム』
5月 スマッシング・パンプキンズ『ギッシュ』
8月 メタリカ『ブラック・アルバム』
9月 ニルヴァーナ『ネヴァーマインド』
9月 プライマル・スクリーム『スクリーマデリカ』
9月 ピクシーズ『世界を騙せ』
9月 レッド・ホット・チリ・ペッパーズ『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』
11月 マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン『ラヴレス』
11月 ティーンエイジ・ファンクラブ『バンドワゴネスク』
11月 U2『アクトン・ベイビー』

などなど、90年代を代表する名盤が続々とわたしが待つ浜辺に、伝説の大波のように押し寄せてきたのだった。

この「シヴァ」はわれわれにとってスマパンの原点であり、その1991年を代表する曲のひとつだった。
24歳のビリーが掻き鳴らすギターから始まり、躍るようなジミーのドラムが入り、ダーシーのブロンドがユラユラと揺れるスマパン・グルーヴは、ロックが本当に戻ってきたんだとわれわれを熱い気持ちにさせたものだった。

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コメント

  1. r-blues より:

    青春の終わり
    >サーフィンなら伝説になるぐらいの大波がもうすぐそこまで来ているのも気づいていた。

    そのタイミングを味わわれた事が、ベルリンの壁崩壊に立ち会った位、うらやましい…。

    小6でガンダム某が巷で流行ってた時、私は違う事に没頭してて、全く波に乗れなかった。
    それに似た感覚をまた10年後に味わってしまった。
    たまたま古い音源に没頭し過ぎてた時期で、スマパン、レッチリ、Bクロウズ、レニクラさえも(どれも今はフェイバリット)遅れて知りました。
    寝てた訳でもなし、音楽にはドップリ浸かってた時期です…。
    …リスナー&プレイヤーとして「僕たちこそ最先端」だと思い上がっていられた”青春”の終わりを突き付けられた..年でした。