ヴァン・ヘイレン/ユー・リアリー・ガット・ミー(1978)

炎の導火線 <2015 リマスター・エディション>

【カバーの快楽】
Van Halen – You Really Got Me

ヴァン・ヘイレンの1st『炎の導火線(Van Halen)』収録の、キンクスの1964年のヒット曲のカバーで、ヴァン・ヘイレンのデビュー・シングルとなった。全米36位。

わたしはこの1stアルバムを、中学の同級生の家で初めて聴いた。わたしはその頃まだハード・ロックなんてほとんど知らなかったので正直よくわからなかったが、その同級生はこのギタリストがいかに凄いかをわたしにわからせようと、熱心に語っていたことを憶えている。

その後わたしはブリティッシュ・ビートにハマり、キンクスも大好きになったので、オリジナルのほうを聴くことが多かったが、あらためてヴァン・ヘイレンのこのバージョンを聴くと、やっぱり凄いカバーだ。凶暴でありながら、爽快でもある。
作者のレイ・デイヴィスが「オリジナルよりもいい」と評したのもうなずける。

レイ・デイヴィスの頭の中ではもしかするとこんなふうに鳴っていたのかもしれなかったが、残念ながら1964年当時はまだこんな音を出せる機材も録音技術もなく、エドワード・ヴァン・ヘイレンのようなギタリストもいなかった。エディはまだ父親の故郷であるオランダに住み、小学校に通っていた。

ちなみに、エディとアレックスの兄弟が中学に上がる頃にヴァン・ヘイレン一家は米カリフォルニアに移住した。兄弟はテレビで見たビートルズに影響を受けて、エディはドラムを、アレックスはギターを始めたが、兄の方がドラムが上手かったためにドラムを取られ、エディは渋々ギターを弾くようになったという。

兄ちゃん、Good Job。
人生、何がどう転ぶかわからないものだ。

レッド・ツェッペリンの一連の名盤がHR/HMの旧約聖書だとしたら、ヴァン・ヘイレンの1stは新約聖書ということになるかもしれない。

ヴァン・ヘイレンは、それまで英国で築き上げられてきたHR/HMの歴史を、たった35分のレコードで塗り替えてしまった。陽気に、笑いながら。

そのヴァン・ヘイレンのギタリストで中心人物、エドワード・ヴァン・ヘイレンが昨日、癌のために逝去した。65歳だった。

きょうの夕方のニュースでも報道されていたし、報道ステーションでも、思った以上にたっぷりと報じられていた。思った以上の日本での扱いが、ちょっと嬉しい。

笑顔がよく似合う、ロック史上最高のギタリストの1人だった。

R.I.P.

↓ キンクスのオリジナル。

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