キンクス、ヴァン・ヘイレン、ストラッツ/ダンシング・イン・ザ・ストリート

KINKS

【カバーの快楽】
Kinks, Van Halen, The Struts – Dancing in the Street

「ダンシング・イン・ザ・ストリート」は、マーヴィン・ゲイを中心とするソングライター・チームによって書かれた曲で、マーサ&ザ・ヴァンデラスが1964年にモータウンからリリースし、全米2位の大ヒットとなった。
モータウンの数ある名曲の中でも特にロック・アーティストたちに愛され、多くのカバーが生まれた曲のひとつだ。

そのロック界におけるカバーの元祖と言えるのが、このキンクスによるもだ。

1965年発表のキンクスの2ndアルバム『カインダ・キンクス(Kinda Kinks)』に収録されたカバー・バージョンは、オリジナルのヴァンデラスのリリースから半年後にレコーディングされている。正直言ってオリジナルの迫力にはやや劣る気もするけれども、ブリティッシュ・ビートらしいアレンジにはなっている。

そのキンクスの「ユー・リアリー・ガット・ミー」のカバーでデビューしたヴァン・ヘイレンも、この曲のカバーを1982年リリースのアルバム『ダイバー・ダウン(Diver Down)』に収録している。

彼らのカバーはオリジナル色が濃いアレンジで、まるで何度もオーバー・ダブを繰り返したようにも聴こえる。シンセこそ使っているものの、実際はほぼオーバー・ダブはしていないそうだ。さすがはゴリゴリのハード・ロックとポップ要素を融合させたパイオニア的存在とも言えるバンドの本領発揮と言える出来だ。

最後は2012年にデビューしたイギリスのバンド、ザ・ストラッツが2019年にシングルとしてリリースしたカバー・バージョン。
まるで時空を超えてやってきたかのような、1970年代のグラム・ロック・バンドのような彼らは、大御所アーティストたちにも気に入られ、ローリング・ストーンズやザ・フー、ガンズ&ローゼス、フー・ファイターズのライヴのオープニング・アクトに抜擢されている。わたしも大好きなバンドだ。

いかにもストラッツらしいアレンジの「ダンシング・イン・ザ・ストリート」は、この曲のロック・カバーの中でも屈指の素晴らしい出来だと思う。PVも良いね。

↓ マーサ&ザ・ヴァンデラスのオリジナル。

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