ニルヴァーナ/世界を売った男(1994)

MTV UNPLUGGED IN NEW YORK [12 inch Analog]

【カバーの快楽】
Nirvana – The Man Who Sold The World

原曲はデヴィッド・ボウイが1970年にリリースした3枚目のアルバム『世界を売った男』のタイトル曲だ。

ボウイはこの前年にシングル「スペイス・オディティ」が全英1位の大ヒットとなってブレイクしたにも関わらず、このアルバムは全英26位、全米105位とあまり売れず、ヒット曲も出なかった。

このタイトル曲も広く知られることはなかったが、ボウイ自身は気に入っていたのか、何度か録音し直して、後のシングル曲のB面などに収録したりもしている。

この曲が一躍有名になったのは1994年の『MTVアンプラグド』でニルヴァーナがカバーしたことによる。
ライヴ盤としても発売されると、「世界を売った男」はボウイのオリジナルを上回ると評価され、若いロック・ファンはこれをニルヴァーナのオリジナルと勘違いするなど、一気に知名度を上げ、翌年のボウイのツアーでもセット・リストに組み込まれたという。

ニルヴァーナの演奏は、この曲のやや翳のある美しさと斬新さに、聴きやすいフックもあることをよくわかるように、余計な曇りをとっぱらってくっきりと見せてくれたような演奏だ。
アンプラグドという限定されたスタイルだからこそ、逆にこの曲の良さがクリアに見えるようになったのだろう。

アコギをファズに通した、カート・コバーンのギターがこの曲によくハマって、たしかにニルヴァーナの曲みたいに聴こえなくもない。

↓ デヴィッド・ボウイのオリジナル。