名盤100選 93 ザ・ヴァセリンズ『ザ・ウェイ・オブ・ザ・ヴァセリンズ』(1992)

ザ・ウェイ・オブ・ザ・ヴァセリンズ:コンプリート・ヒストリー

前回取り上げたレッド・ツェッペリンは、さすがに好きな人が多いバンドらしく、久々にコメントがたくさん寄せられた。そのコメントのほとんどが、常連たちが久しぶりに飲み屋に揃って、昔話や世間話に花を咲かせているようなものであったにしろ。飲み会やろうぜという話までありましたが、それもしっかり実現されています。

今回はそのレッド・ツェッペリンとは真逆の、まあほとんど知名度が無いに等しいと思われる、ヴァセリンズである。

ザ・ヴァセリンズはスコットランドの男女2人組のバンドで、1986~1990年の4年ほど活動し、1枚のアルバムと2枚のシングルを発表して解散した、あまり成功しなかったバンドである。
このアルバム『ザ・ウェイ・オブ・ザ・ヴァセリンズ』は、解散後に再評価の気運が盛り上がったために1992年に発表された、彼らのアルバムとシングルと未発表曲のすべてを1枚に集めたアルバムである。

ヴァセリンズが解散後に再評価された理由は、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったニルヴァーナが、ヴァセリンズの曲を3曲もカバーして発表したからである。カート・コバーンが大好きなバンドだったのだ。わたしももちろん、それで彼らのことを知ったのだった。

ヴァセリンズの作風は、まるでアイドル歌謡や童謡のような、超POPで超シンプルな、一度聴いたら忘れられない歌メロに、ありえないようなノイジーなギターを加えて、あまり巧くない男女が楽しげにデュエットするという、そのちぐはぐさが魅力である。「明るいヴェルヴェット・アンダーグラウンド」という風情もあり、同時期にアメリカで活動を始めたピクシーズにも共通するところがある。
この超POPな歌メロにノイジーなギターというこのコンセプトを継承して、ハードロック風に仕上げたのが、そのままニルヴァーナの音楽だと言える。

ニルヴァーナがカバーした「サン・オブ・ア・ガン」「モリーズ・リップス」「ジーザス・ウォント・ミー・フォー・ア・サンビーム」はどれも名曲だ。
とくに「ジーザス…」の美しさに魅かれたわたしは、フェイク△アニと組んでこの曲を人前で演奏したこともあった。
わたしはヴァセリンズのユージン・ケリーになりきって、この静謐で美しい歌を歌ったのだが、たぶん本人が思ってる10分の1ぐらいしか歌えてなかったらしく、歌い終えると会場はまるで、無理やりふられた1発ギャグをやったあとの上島竜平の空気みたいになっていたものだ。

ああ懐かしい。忌まわしき思い出であるが、美しき青春の思い出でもある。
青春とは、今が人生のピークと思い込みながら、前のめりになってすべり続ける時期のことである。

コメント

  1. フェイク・アニ より:

    残り7枚
    青春真っただ中のフェイク・アニです。
    気がつけば、もう残り7枚ですね。
    何がくるのか楽しみにしております。
    (≧▽≦)