ザ・ポリス/アラウンド・ユア・フィンガー(1983)

synchronicity

【80年代ロックの快楽】
The Police – Wrapped Around Your Finger

ポリスの5枚目にしてラスト・アルバム『シンクロニシティ(Synchronicity)』からのシングル。全英7位、全米8位のヒットとなった。

アルバムは全英1位、全米ではなんと17週連続1位、800万枚を売り上げる、モンスター・セールスとなった。彼らの代表曲となった「見つめていたい(Every Breath You Take)」やこの曲など、4曲のシングル・ヒットも生まれ、グラミー賞最優秀アルバム賞にも輝いた。

このアルバムをポリスの最高傑作に挙げる人も多いし、それどころかロック史上最高のアルバムのひとつに数える人もいるほどだ。

わたしはこのアルバムをリアルタイムで、貸しレコード店で借りたことを憶えている。当時17歳ぐらいで、それまでポリスはラジオで聴いたいくつかのヒット曲は知っていたけれど、アルバムを聴くのは初めてだった。カセットテープにダビングして、何度も繰り返し聴いたけど、残念ながらあまりピンと来なかったことを憶えている。

どちらかと言うと大人のロック・ファン向きの内容で、当時のわたしにはまだ理解できなかっただけなのだろうけど、しかしたとえそうだとしても、17歳のロックを聴きたい盛りの少年が何度聴いてもピンと来ないアルバムがロック史上最高のアルバムというのもなんとなく違うのではないかとも思う。ロックってそんな難しいものではないはずだ。

今回わたしはこれを書くに当たってポリスのアルバムをおよそ4カ月間にわたって繰り返し聴き、このアルバムもようやく好きになってきた。ロック史上最高のアルバムとは言わなくても、このアルバムが素晴らしいのは事実だ。

ポリスの進化の頂点であり、おそろしく完成度が高く、A面とB面のコントラストも楽しい(今やCDよりアナログ盤のほうが売れてる時代なのだから、こういう昔のような言い方や聴き方も許されるのではないか)。

この「アラウンド・ユア・フィンガー」は、スティングらしい高低差が気持ちいい歌メロに、美しいのと不気味なのがちょうどいい混ぜ具合のアレンジがいい。

男を意のままに操っている悪魔のような女が、実は逆に男の意のままに操られていることに気づいて蒼ざめるという、これまたスティングらしい変態性ラヴソングだ。

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