The Only Ones – Another Girl Another Planet
ジ・オンリー・ワンズは1978年にデビューした英ロンドンのバンドだ。
当時のロンドンはパンク・ムーヴメント真っただ中の時代なので、このオンリー・ワンズもパンク・バンドのひとつとして語られることが多いけれども、実際は音楽性の幅も広い、異質なバンドだった。20代後半と少し年齢も上だったし。
この曲が収録された1stアルバムは、イントロからサックスが吹き鳴らされるムーディーなバラードで始まり、パンクっぽい曲もあれば、サイケっぽい曲や、ゴスみたいな暗い曲もあり、ジャズの要素が入った曲まである。
この「アナザー・ガール、アナザー・プラネット」は彼らの代表曲で、パンクのコンピにもパワー・ポップのコンピにもよく収録される曲だ。
でも、パンクっぽくないカッコいいギターソロがあったり、メロディはポップで、そんなにトガった感じもしないので、どちらかというと王道ロックと言えるパワー・ポップ系の曲である。ピーター・ペレットの寝起きみたいな頼りないヴォーカルが良い味を出している。リバティーンズのピート・ドハーティが彼らに影響を受けたというのもすごく納得できる。
しかし、3枚アルバムを出したものの商業的には成功せず、レコード会社からクビを言い渡され、1981年にオンリー・ワンズは解散する。
なんだかバッドフィンガーやビッグ・スターの悲しい末路を思い出してしまうけれども、実を言うとパワー・ポップでちゃんと売れたバンドは少ないのだ。
そういう「売れないけど、好きなことやってるから満足」みたいな甘酸っぱい青春感とか、世渡り苦手な哀愁感とか、人見知りで自分に甘いオタク感とか、そんなものが染み出して聴こえるのがまた、わたしにとってのパワー・ポップの魅力でもある。