ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズ「ストレイト・トゥ・ユー」(1992)

Henry's Dream

【90年代ロックの快楽】
Nick Cave & The Bad Seeds – Straight To You

ニック・ケイヴはオーストラリアで80年代から「バースデイ・パーティー」という暗黒グループのヴォーカルとして活動していたが、その頃は異様なリズムに呪文のような歌と咆哮、裸の上半身に「HELL」などとたむらけんじばりに書いて暗黒舞踏みたいに飛び跳ねていた。

そのバースデイ・パーティーを解散した後ソロで再デビューし、ヘロイン中毒から立ち直って歌い始めたのがこの、まるでキャバレーソングのようにわかりやすく、しかも文字通りストレートで力強い歌である。
若い頃から悪の限りを尽くして地獄を見た若者が、ついに更生を誓って真人間になるために社会へと一歩足を踏み出した、そんな感慨がわいてくるような曲だ。

ロック界にはほんとうに少ない、このパンチの効いた低音ヴォーカルもわたしは大好きだ。

記事を書いた人(Goro)

愛知県在住。中学卒業後、無知蒙昧のまま社会にさ迷い出て、底辺職を転々した後、地元の映画館に拾われる。映画館に10年勤めた後、レンタルビデオチェーンのバイヤーを20年勤め、現在は再び底辺職で肉体労働の日々に返り咲く。心に平安が訪れている。生活に不満はなし。音楽にはいろいろと救われている。「映画は映画館で観なきゃダメ派」ではない。

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