だんだん好きになるバッド・カンパニー『バッド・カンパニー』(1974) 【食わず嫌いロック】#15

Bad Company

Bad Company

Bad Company (1974)


こんな有名なアルバムすらも聴き逃していたので、今更ながら聴いてみた。

元フリーのポール・ロジャース(Vo,G)とサイモン・カーク(Dr)、元モット・ザ・フープルのミック・ラルフズ(G)、元キング・クリムゾンのトッド・ロニング(B)という4人で結成された英国のバンド、バッド・カンパニーが1974年6月にリリースした1stアルバムだ。全米1位、全英3位、全世界で1,200万枚を売り上げた大ヒットアルバムである。

シングルヒットした代表曲「キャント・ゲット・イナフ」だけは知っていたが、正直若い頃はこの曲がそれほどピンとこなかったために、アルバムを聴こうとまで思わなかったのだ。

ハード・ロックにしては軽快なその代表曲から始まるが、2曲目以降、カッコいい「ロック・ステディー」と「ムーヴィン・オン」以外の5曲がすべてスローテンポの曲なのが意外だった。バッド・カンバニーなんていうぐらいだからもっと派手にガンガン悪いことをしてる感じなのかと思いこんでいたが、違ったようだ。そういえばフリーの『ファイアー・アンド・ウォーター』でも同じことを思ったのだった。

ポール・ロジャースの歌声はフリーの頃よりもグッと成長してますますソウルフルに情緒豊かになっている。このアルバムの完成度の高さはまずこのシビれる声に拠るところが大きいと感じた。

ミック・ラルフズがモット・ザ・フープル時代に書いて歌った抒情的な「レディ・フォー・ラヴ」は、今回はポール・ロジャースのヴォーカルでカバーし、大成功しているように思う。

8曲34分といい具合の収録時間で、捨て曲なし、名曲・佳曲が無駄なく並んだ、滋味あふれる名盤だ。この「滋味」というのがやっぱりポール・ロジャースのカラーがちゃんと出ているということなんだろうな。

全曲聴いてまた「キャント・ゲット・イナフ」に戻ると、また少し違った印象を与えてくれる。こうやってだんだん好きになるのだ。

ジャケットはヒプノシスにしてはなんだか手抜きだなと長年思っていたが、いざ中身を好きになってしまうと、なかなかいいデザインのアートワークだなと思えてくるから不思議なものである。

(Goro)