シュープリームス『愛はどこへ行ったの』(1964)【最強ロック名盤500】#82

Where Did Our Love Go
⭐️⭐️⭐️⭐️
【最強ロック名盤500】#82
The Supremes
“Where Did Our Love Go” (1964)

最近は原語の発音に近づけてなのか「スプリームス」などと表記されることがある。ウィキペディアまでそうなってる。いや、長年「シュープリームス」で親しまれてきたのだから、今更そんな発音原理主義みたいな理由で勝手に変えないで欲しいものだ。

その点、ユニバーサル・ミュージックの公式サイトは、ちゃんと「シュープリームス」と表記しているのでエラい。わたしのブログも「シュープリームス」のままで頑張って、「スプリームス」派を駆逐したいものだ。

わたしはブリティッシュビートもパンクロックも好きだが、60年代のガールズポップもまた好きだ。好きなものはたくさんある。
でもこのジャンルは、わたしのこれまでのブログの反応を見ても最も共感されることが少ないジャンルなので、いつも孤独感に苛まれながら書くことになる。
それでも書くが。

わたしにとってシュープリームスはそのガールズポップ好きの原点であり、そのジャンルの最高峰のグループだ。

シュープリームスはなんと言ってもダイアナ・ロスだ。
他のメンバーには悪いが、あのダイアナ・ロスの可憐な歌声はちょっと類を見ない。
モータウンがダイアナばかりを売り出そうとしたことで他のメンバーがむくれてなんやかんやあったのは有名な話だが、そりゃ仕方がないでしょうと思う。
後年はだんだん普通になっていくが、64年~69年あたりのシュープリームス時代のダイアナの歌声は、もうとろけちゃいそうなほど無敵のキャンディ・ヴォイスなのである。

本作はシュープリームスが、怒涛のシングル5曲連続全米1位という大記録を打ち立てるきっかけとなった、名曲満載の2ndアルバムだ。カッコ内はシングルチャートの最高位。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 愛はどこへ行ったの(全米1位、全英3位)
2 ラン、ラン、ラン(全米93位)
3 ベイビー・ラヴ(全米1位、全英1位)
4 恋のキラキラ星(全米23位)
5 カム・シー・アバウト・ミー(全米1位、全英27位)
6 ロング・ゴーン・ラヴァー

SIDE B

1 あなたは自由よ
2 ブレス・テイキング・ガイ(全米75位)
3 あの人がすべて
4 恋の曲がり角
5 ユア・キス・オブ・ファイア
6 アスク・エニイ・ガール

本作は、史上初めて1枚のアルバムから全米ナンバー1シングルが3曲出たアルバムとして知られている。それほど当時のシュープリームスの勢いは凄かったのだ。

A4「恋のキラキラ星」は、初めてブライアン・ホーランド、ラモント・ドジャー、エディ・ホーランドのソングライター・チームによって書かれプロデュースされたシングルだ。フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドを手本にして制作された楽曲だったが、これが初のトップ40ヒットとなったため、彼らはモータウンに雇われ、その後もシュープリームスの大半の楽曲がこのチームによって制作されている。ナンバー1ヒットでグループの代表曲となったA1「愛はどこへ行ったの」、A3「ベイビー・ラヴ」、A5「カム・シー・アバウト・ミー」もすべて彼らの制作によるものだ。

彼らは一貫したプロデュース・ワークで、シュープリームスの持っているものを最良の形で引き出した。

最強ソングライタートリオ、ホーランド=ドジャー=ホーランドは、R&Bの枠を超えて、米ポップス界の最先端を行く最強集団だった。シュープリームスをはじめとするモータウンのアーティストのために書かれた膨大な数の名曲は、わたしが「ポップソング」という言葉で思い浮かべる理想の音楽のひとつである。

この音楽は人類に永遠に聴き継がれるに違いない。
人類が滅びた後の地球でも、われわれが遺した最良の遺産として、次の地球の支配者たち、猿だかタコだかにも聴き継がれることだろう。

↓ 全米1位、全英3位の大ヒットとなったアルバムのタイトル曲「愛はどこへ行ったの」。

↓ 全米1位、全英1位の世界的ヒットとなった代表曲「ベイビー・ラヴ」。

(Goro)

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