≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その348
Pink Floyd – Wish You Were Here
これまた泣ける名曲である。
これはピンク・フロイドが『狂気』の次に発表した9枚目のアルバム『炎(あなたがここにいてほしい)』のタイトル曲だ。
難解な歌詞だが、もともとロジャー・ウォーターズがシド・バレットについて書いた詩がモチーフになっていると言われている。
シド・バレットは初期のピンク・フロイドのメンバーであり、リーダーだった。そして天才でもあった。
しかし薬物中毒から精神病に至り、バンドから脱退せざるを得なかった。
このアルバムのレーディング中に、シド・バレットが突然スタジオに現れたという逸話がある。
髪も眉も剃り落とし肥え太った男を、メンバーは最初だれもシドだと気づかなかったという。
スタジオをうろうろと支離滅裂な行動をしながら「ぼくはなにをやればいいんだい?」と訊くシドに、メンバーたちは涙が止まらなかったという。
メンバーがシドに会ったのはそれが最後となり、シドは糖尿病の合併症により2006年に60歳で亡くなっている。
「あなたがここにいてほしい」という邦題にはグッとくるものがある。
きっとだれもが、ここにいないだれかのことを思いながら聴いてしまうのだろう。