パティ・スミス／ピープル・ハヴ・ザ・パワー（1988）

MC5の名ギタリスト、フレッド・ソニック・スミスとの結婚を機にアーティスト活動から離れていたパティ・スミスが9年ぶりに発表した1988年の復帰作『ドリーム・オブ・ライフ』からのシングル。

さすがは泣く子も黙るNYパンクの女王、さらに貫録を増して「わたしたちは世界を変えられる、団結すれば実現できる、人々には力がある。われわれは力を持っている」と圧倒的な力強さと説得力で歌う。

自由と平和と満腹と傲慢を謳歌できる国に生きていれば、ひと昔前の人権派左翼のアジテーションみたいにしか聴こえないかもしれない。
しかし残念ながら世界には、この21世紀に至っても尚、理不尽な理由で圧政に苦しみ、自由を奪われ、飢え、沈黙したまま死んでいく人々がいる。地獄のような苦痛に、今この時も、発狂して悲鳴をあげてのたうちまわる人々が存在する。
そして自由と平和を、今まさに奪われようとして、それに命がけで抵抗している若者たちもいる。21世紀なのに。

無力で阿呆で低所得者のわたしにできることはほとんどなにもないけれど、思いを発信すること、無関心でいないこと、せめてそれだけはしていたいと思う。

香港加油！！