≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その160
Johnny Thunders And The Heartbreakers – Born To Lose
ニューヨーク・ドールズ解散の後、ジョニー・サンダースが1975年に結成したのがこのハートブレイカーズだ。
彼らはたった1枚のアルバムしか残していないけど、この『L.A.M.F』はわたしにとってはロック史上の十指に入る名盤だ。
ジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズは本拠地のニューヨークより、ロンドンで歓迎され、ロンドン・パンクの連中に本物のロックンロールとドラッグを教えることになる。たぶんシド・ヴィシャスとかだろう。これもロック伝説のひとつなのか、痛いニュースなのかは、よくわからない。
“Born To Lose”、失うために生まれてきた、敗北のために生まれてきた、生まれながらの負け犬、どれが正しいかわからないけど、たぶん全部正しいような気がする。
彼は人並み以上のソングライティングの才能があるし、ギタリストとしても素晴らしい。
まったくギターを弾かない人でも彼のギターを好きになるような、彼のギターにはなんだかわからないけど惹きつけるものがあった。
そんなギタリストはそうそういない。超絶技巧や速弾きが得意なサーカスの芸人みたいなギタリストはいくらでもいるけど、真にカッコいいギタリストはそんなにたくさんはいないのだ。
でもジョニーは間違いなくそのひとりだった。
この「Born To Lose」というタイトルも、まるで彼のキャッチコピーみたいでカッコいいし、そんな詩的な才能だってあった。
もしかして、もう少し運が良くて、バンドに恵まれたら、キース・リチャーズみたいになれたのかもしれなかった。
でもそうじゃないから、こんなにシンプルで純粋な、彼のありのままの姿のような最高のロックンロールが生まれたのかもしれないし、だからこそわれわれはジョニー・サンダースを愛したのかもしれない。