【告白】ストーンズでは唯一、1曲も好きな曲が無いアルバム【ストーンズの60年を聴き倒す】#24

ビトゥイーン・ザ・バトンズ(UKヴァージョン)

『ビトウィーン・ザ・バトンズ』(UK)

『Between the Buttons』(1967)
The Rolling Stones

「夜をぶっとばせ」「ルビー・チューズデイ」の両A面シングルの発売から1週間後、1967年1月20日に英国でリリースされたのが5枚目のオリジナル・アルバム『ビトウィーン・ザ・バトンズ』だ。全英3位、全米2位のヒットとなった。

1967年と言えば、前年にビーチ・ボーイズが『ペット・サウンズ』をリリースした影響で、英国でも実験的な作風の〈コンセプト・アルバム〉の傑作が続々と作られた年だった。

ビートルズが『サージェント・ペパーズ』、ザ・フーが『セル・アウト』、そしてキンクスが『ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』と続いたが、ストーンズはこの、全曲オリジナルで、『ペット・サウンズ』ばりに一風変わった楽器をいろいろと使ってみたりはしているものの、コンセプト・アルバムというほどでもなければ、ストーンズらしいワイルド感にも乏しい、なんとも中途半端な印象のアルバムをリリースした。ストーンズの大迷走時代だ。
残念ながらわたしにとってこのアルバムは、ストーンズでは唯一の、好きな曲が1曲もないアルバムである。

そうは言っても人の好みなんていつの間にか変わっていたりもするので、数年に一度は聴いてみるのだが、相変わらずどこにも耳を惹かれることなく、聴き終えてしまう。

このアルバムが好きだという意見も聞いたことがあるので、完全なる駄作というわけでもなさそうだが、わたしにはこのアルバムの魅力がどうにもこうにもわからないのである。先週もどこかに名曲が隠れていないかと耳を澄まして聴いてみたし、今も聴きながらこれを書いているが、結局好きな曲は見つからずじまいだ。

SIDE A

  1. イエスタデイズ・ペイパー – Yesterday’s Papers
  2. マイ・オブセッション – My Obsession
  3. バック・ストリート・ガール – Back Street Girl
  4. コネクション – Connection
  5. 甘いほほえみ – She Smiled Sweetly
  6. クール・カーム・アンド・コレクテッド – Cool, Calm and Collected 4:17

SIDE B

  1. オール・ソールド・アウト – All Sold Out
  2. プリーズ・ゴー・ホーム – Please Go Home
  3. 眠りの少女 – Who’s Been Sleeping Here?
  4. コンプリケイティッド – Complicated
  5. ミス・アマンダ・ジョーンズ – Miss Amanda Jones
  6. 昨日の出来事 – Something Happened to Me Yesterday

このアルバムでもブライアン・ジョーンズはマルチプレイヤーとしての異常な才能を発揮し、オルガン、マリンバ、ヴィブラフォン、バンジョー、カズー、リコーダー、メロトロン、テルミン、サックスなどを演奏している。

それらのおかげでサウンドはたしかに多彩な音色にはなっているし、フォーク風もあればサイケ風もあればヴォードヴィル風まであるが、なのに1曲も好きな曲がないということは、わたしがストーンズに求めているのはそういうことではないということだろう。

サイケやコンセプト・アルバムなど、時流に乗ろうとするが、どうにもこうにも乗り切れない。似合わないこと甚だしいのだ。それはきっと彼らが、ポップ・バンドではなく、ブルース・バンドだからだろう。

ストーンズの大迷走時代だ。

(Goro)

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