【夜のロック】その4
Otis Redding – Pain in My Heart
Otis Redding – Pain in My Heart
1964年のデビュー・アルバム『ペイン・イン・マイ・ハート』のタイトル曲。
作者はNaomi Nevilleとなっているが、これはアラン・トゥーサンの変名らしい。
オーティスの3枚目のシングルで、当時オーティスは23歳なのだけど、すでに老成したような渋さや説得力を感じる。若造なのに、貫禄十分である。
オーティスの声だけでなく、わたしはこのなんだか真っ暗闇みたいなサウンドも好きだ。
重量感あふれるベースが闇を揺らし、ギターが線香花火のように小さな光を放ってチロチロと音を立てる。
ドラムはごつごつしたリズムを刻み、眠たげな馬のようにホーンがいななく。
バラードを歌うオーティスは闇の中でずっとなにかを探すように、手探りをしながらさまよっているようだ。
この曲でいわゆる「ディープ・ソウル」と言われるものが誕生したとわたしは思っている。
「ディープ・ソウル」とは主に米南部の、ブルースやゴスペルの影響を受けたスロー・バラードや、ミディアムテンポのソウル・ミュージックのことだ。
わたしは、熟れすぎた果実みたいなディープ・ソウルを真夜中に聴くのが大好きなのだ。