イエロー・マジック・オーケストラ/テクノポリス(1979)

TECHNOPOLIS(2018 Bob Ludwig Remastering)

【ニッポンの名曲】
Yellow Magic Orchestra – Technopolis

2ndアルバム『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』のオープニング・トラックで、YMOの日本での初めてのシングル・レコードとなった曲。オリコン・チャート9位のヒットとなった。

また当時、富士フイルムのカセットテープのCMに使用された曲でもある。CMにはYMOの3人も出演していた。

そして、中学1年生のわたしが、初めて聴いたYMOの曲でもあった。

そらもう、どえらい衝撃だった。

と言っても、当時のわたしはテレビやラジオで歌謡曲を楽しむ程度だったけれども、ピコピコという電子音や加工された声が面白く、派手でわかりやすいアニソンのような曲調のカッコ良さにいかにも子供らしくシビれたのだと思う。

当時YMOは、小・中学生に大人気だったのだ。
当時は最初の大ヒットコンピューターゲーム「スペース・インベーダー」の大ブームもあったため、あのゲーム音を連想させるようなサウンドだったのも子供人気に影響したように思う。

たぶん、この曲のタイトルに引っ張られて、YMOのサウンドは「テクノポップ」と呼ばれるようになり、当時の一大テクノ・ブームの先駆者となったが、後になって、それ以前に海外にはクラフトワークやブライアン・イーノ、プログレッシヴ・ロックなどが電子楽器を使用していたことを知った。

もともとは現代音楽から始まった、シンセサイザーやコンピューターを使った電子音楽は、難解で実験的で、なにかデジタル機械が発達すればするほど暗黒の世の中になっていくディストピア的イメージが根底にあるかのような、どこかシリアスで暗くて非人間的な音楽のイメージがあったけれど、YMOはそれまでのものとは180度違う、明るくて大衆的でポップな電子音楽を創造した。

そもそもは、細野晴臣が坂本龍一と高橋幸宏を自宅に招き、おにぎりを食べながら「シンセサイザーとディスコ・ビートの組み合わせで世界中で売れる」というアイデアを披露して、2人の賛同を得てYMOが結成されたという。
さらにこの「テクノポリス」や「ライディーン」ではさらなる商業的な成功を求めて、「筒美京平や都倉俊一がYMOに曲を書いたらどうなるか」というイメージで作られたという。

だれもやってないことをやってやろう的な実験精神や、コンピューターに合わせて演奏するという高度な技術を持ち合わせながら、同時にバカ売れする方法を考えていたのがYMOだった。

それがとにかくカッコ良かったのだ。そのカッコ良さは中学生のわたしにも伝わった。

「テクノポリス」「ライディーン」などの路線は思惑通り大ヒットし、それらが収録された2ndアルバム『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』は1979年のオリコン・チャートの年間1位となり、100万枚以上を売り上げる特大ヒットとなる。

動画は『夜のヒットスタジオ』出演時のもの。細野晴臣のくわえタバコが「あえて」っぽくて笑える。