はじめてのウィルソン・ピケット【必聴名曲5選】5 WILSON PICKETT Songs to Listen to First

2021/12/5

ボブ・ディランと同じ1941年に生まれたウィルソン・ピケットは、60年代のアトランティック・レコードの隆盛を支えた、サザン・ソウル・シンガーのスーパースターだ。

米アラバマ州出身の彼は、ひとつ年下で同じアトランティック・レコードのアレサ・フランクリンと同様に、幼い頃からゴスペルを歌い、ゴスペル歌手としてデビューした後に、ソウル歌手に転向した。

彼の魅力はなんと言ってもあの、細かいことは気にしない、飛沫が飛ぶのなんてもちろん気にしない、大らかな激唱スタイルの歌声だろう。

彼の声を聴くとわたしはいつも、子供の頃に家の近所にあった魚屋のおっちゃんの呼び込みの声を思い出す。明るくて屈託のない、人好きがする商売向きの感じがする声だ。その声のおかげもあってか、サザン・ソウル・シンガーの中でも、セールス的に最も成功した歌手となった。日本でも彼のヒット曲はなじみ深いものが多い。たぶん彼の名前を知らない人でも、聴けば知ってる曲もあるだろうと思う。

また、ウィルソン・ピレットの音楽の魅力は彼の歌声だけではなく、半分は60年代のメンフィスの最高のミュージシャンたちによる素晴らしいサウンドの魅力なのだと思う。

以下はわたしがお薦めする、最初に聴くべきウィルソン・ピケットの至極の名曲5選です。

イン・ザ・ミッドナイト・アワー（1965）
In the Midnight Hour

ピケットのブレイク作で、初のR&Bチャート1位に輝いた曲だ。全米チャートでも21位まで上昇した。
親しみやすいメロディやピケットのヴォーカルももちろん良いが、スタックス・スタジオの素晴らしいミュージシャンたちの明晰で力強いソリッドな演奏がまた素晴らしい。

「イン・ザ・ミッドナイト・アワー」の過去記事はこちら

ダンス天国（1966）
Land of a Thousand Dances

全米6位となったピケットの最大のヒット曲。この曲のオリジナルはクリス・ケナーだが、「ナーナナナナー」を追加したこのピケット版やウォーカー・ブラザーズ版のほうが大きなヒットとなった。日本でもよく知られ、歌手もタイトルも知らなくても聴けばわかる人も多いはずだ。エネルギッシュで能天気で最高のダンスナンバーだ。

「ダンス天国」の過去記事はこちら

マスタング・サリー（1966）
Mustang Sally

全米23位、R&Bチャート6位。録音はアラバマ州にあるこれも有名なマッスルショールズ・スタジオだが、ここのミュージシャンたちが作り出すサウンドもまたひと味違ったカッコ良さだ。
この曲は1991年の映画『ザ・コミットメンツ』で、コミットメンツの演奏シーンのハイライトのひとつとなっていたので知ってる方も多いかもしれない。

「ザ・コミットメンツ」の過去記事はこちら