ちょっとどういうことなのかわからないベスト盤【ストーンズの60年を聴き倒す】#49

Sucking in the.. -Spec-

『サッキング・イン・ザ・70’s』(1981)

“Sucking in the Seventies” (1981)
The Rolling Stones

1981年4月に発売された編集盤で、75年のベスト盤『メイド・イン・ザ・シェイド』の続編と考えていいのだと思う。

SIDE A

  1. Shattered
  2. Everything Is Turning to Gold
  3. Hot Stuff
  4. Time Waits for No One
  5. Fool to Cry

SIDE B

  1. Mannish Boy
  2. When the Whip Comes Down (LIVE)
  3. If I Was a Dancer (Dance Pt. 2)
  4. Crazy Mama
  5. Beast of Burden

『ブラック・アンド・ブルー』『ラヴ・ユー・ライヴ』『女たち』『エモーショナル・レスキュー』からのベスト的な選曲に加え、シングル「シャッタード」のB面に収録されていたアルバム未収録曲「エヴリシング・イズ・ターニング・トゥ・ゴールド」と、「ダンス」の12インチリミックスバージョンとして発売された「ダンス・パート2」、「ホエン・ジ・ウィップ・カムズ・ダウン」の未発表ライヴというレア・トラックが収録されている。

「エヴリシング・イズ・ターニング・トゥ・ゴールド」は、ポスト・パンクというか、当時のニュー・ウェイヴっぽい要素もあり、A面の「シャッタード」と併せて、なかなか尖った良いシングルだと思う。

しかしなぜか、この期間の最大のヒット曲である「ミス・ユー」(全米1位)も、「エモーショナル・レスキュー」(全米3位)も収録されていない。ちょっとどういうことなのかよくわからないベスト盤だ。既発のアルバムにも収録されているヒット曲を集めただけのベスト盤ではコアなファンたちが買わないだろうと考えて、少しだけレアなトラックを収録した結果、ベスト盤なのかなんなのかよくわからないレコードになってしまった、という感じだ。でも結果的には、これはこれでなかなかシブくて楽しめるレコードになっている。

当時のわたしは、今思えばたいしてレアでもないそのレア・トラック3曲が聴きたいがためにLPレコードを買ったものだった。熱心だったなあ、あの頃は。ボーナス・トラックなんてものの存在しない時代だったので、アウトテイクやレア・トラックというものには今とは比べ物にならないほどの価値があったのだ。

「ホエン・ジ・ウィップ・カムズ・ダウン」は、わたしは『女たち』の記事であまり好きじゃない曲に挙げたが、しかしこのライヴ・バージョンはなかなかドライヴ感がすごくて、これを聴いてから好きになったものだった。

(Goro)

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