作詞:ウエズキヨサク 作曲・編曲:MONGOL800
「小さな恋のうた」はMONGOL800の2ndアルバム『MESSAGE』に収録された曲だ。
シングルカットされたことがないにもかかわらず、モンパチの代表曲として広く知られ、深く愛され、多くのカバーバージョンも生んだ。
初めて聴いたときは、天才が書いたのかと思ったほどだった。
メロディが素晴らしいのはもちろんのこと、予想を裏切る展開や、随所にちょっとした細かい工夫も散りばめられている。
「大事なヒトォほどー」のところは、なにかのマジックなのかと思ったぐらいだ。
間違いなく、2000年代で最も愛された、ニッポンのロックナンバーだと思う。
この曲も「リンダリンダ」の系譜と言える、パンクロック・スタイルのラブソングだ。
英米で生まれたパンクロックは、既存の社会や思想に対してアンチテーゼを歌ったものだったが、日本では「リンダリンダ」にしろ「小さな恋のうた」にしろ、ラブソングであり、個人のそのままの生き方を肯定する内容をパンクロックスタイルで歌って成功しているのが面白いと思う。
やはりお国柄や社会状況の違いもあるのだろう。
戦後の日本は手厚い社会保障も整備された自由主義社会として、それなりに成功し、経済発展も遂げ、独自の文化も花開いた、他国も羨む豊かな社会となった。
これを否定するのはかなりムリがあり、反逆して共感を得るのは相当のことだ。
屁理屈の天才か、妬み嫉みモンスターでもない限り難しいと思う。
わたしも若い頃にチャレンジを試みたが、見事に爆死した。
現状を否定することはたやすいが、肯定することはそれなりに勇気のいることだ。
それをカッコ悪いと思う人もいるかもしれないし、そんなのはロックじゃないと思う人もいるかもしれない。
逆にパンクロックとかそんなことはどうでもよくて、ただ単に「良い歌だなあ」と思って聴いている人もいるだろう。
わたしはロックは好きだけれど、戒律にうるさいロック教の信者ではないので、ロックがなにをどう歌おうが構わないと思っている。
ただひとつ、ロックがいつまでも、自由の象徴のような音楽であり続けてほしいと思うだけだ。