【映画】『ストレイト・アウタ・コンプトン』(2015米) ★★★★☆

ストレイト・アウタ・コンプトン [Blu-ray]

【音楽映画の快楽】
Straight Outta Compton

監督:F・ゲイリー・グレイ
主演:ジェイソン・ミッチェル、オシェア・ジャクソンJr、コーリー・ホーキンズ

ギャングスタ・ラップの創始者、N.W.Aの、結成からわずか3年での解散までを描いた音楽伝記映画。

クスリの売人であるイージー・Eが、ドクター・ドレーやアイス・キューブと出会い、N.W.Aを結成してレーベルを立ち上げるところから物語は始まる。

ギャングスタの日常を描いた過激な歌詞が支持され、1stアルバム『ストレイト・アウタ・コンプトン』は大ヒットを記録、〈ギャングスタ・ラップ〉と呼ばれて社会現象となり、同時に過激すぎて社会問題にもなる。

ブレイク後も、ライブツアーやレコーディングなど音楽活動の一方で、他のギャングとの抗争や発砲事件も日常茶飯事、乱交パーティーを繰り返し、ドラッグ・セックス・ヒップホップの日々を送る。

一方、黒人に対する差別的な不当逮捕などの経験から警察を猛烈に批判した曲「ファック・ザ・ポリス」も話題になるが、FBI直々の「演奏禁止」の警告を受けて監視対象となる。
警告を無視してライブで演奏を強行するが、警官がその場で彼らを取り押さえ、逮捕するという、体制からの圧力にも悩まされる。

その後、マネージャーが不正に彼らを搾取していることが明らかになり、アイス・キューブやドクター・ドレーが離脱、中心人物のイージー・EはHIVに感染していることが判明するなど、N.W.A王国は崩壊していく。

後半ではあのロス暴動や、脱退したドクター・ドレーがデス・ロウ・レーベルを立ち上げて、スヌープ・ドッグや2PACが参加していく話なども描かれる。
まさに90年代初頭のヒップホップの爆発的な隆盛の瞬間を描いた映画になっている。

わたしはヒップホップという音楽の良し悪しがわからない旧型人類で、ましてやギャングスタなんて怖いので一生関わらないでいるつもりだけれども、しかしドクター・ドレーやアイス・キューブなど、一部のまともなアーティストたちの音楽に対する情熱的な取り組みには興味を惹かれるものがあった。

音楽映画としても面白いけど、ギャング映画としてもなかなか楽しめる。
よく知らなかったギャングスタ・ラップも字幕付きで聴けるので勉強になった。