ピクシーズ/ウインター・ロング(1989)

Bridge: Tribute Neil Young

【カバーの快楽】
Pixies – Winterlong

脳性麻痺障害児のスクールのためのチャリティ・アルバム『ザ・ブリッジ~ア・トリビュート・トゥ・ニール・ヤング』に収録されたカバーだ。

自身も同じ障害を持つ息子がいるニールはこのスクールに深く関わっていたが、しかしこのチャリティ・アルバムはヤング側からの企画ではない。

ヤングをリスペクトする若いアーティストたちを集めて制作されたもので、当初はヤング自身はこのアルバムを聴きたがらなかったと言う。

80年代のヤングは音楽的にも迷走していて、セールスも悪くなる一方だった時期でもあり、「どうせ『ニールさん、後は僕たちに任せて、隠居でもしたら?』とでも言うような内容のものだろう、と勝手に思い込んでいたんだ」と当時のインタビューで答えている。

しかし、発売からしばらくしてその評判を知り、ツアー・バスの中で聴いてみると、若いアーティストたちの曲へのアプローチの仕方や攻めたギター・プレイに感心し、特にニック・ケイヴ、ソニック・ユース、そしてこのピクシーズの名前を挙げて絶賛している。

その直後、1990年代に突入すると同時にヤングは長いトンネルを抜け、久しぶりに豪快な轟音ギター・ロックで復活を果たしたのは、このトリビュート・アルバムに触発されたものだとわたしは思っている。

ちなみに、この「ウインター・ロング」は全然有名な曲ではない。
元々、お蔵入りとなっていた曲であり、1977年に発売されたベスト・アルバム『ディケイド:輝ける10年』に、未発表曲として収録されたものだった。

たぶん、これを聴いたすべてのニール・ヤング・ファンは、「これってこんなにいい曲だったのかあっっっ!」と驚いたことだろう。わたしもそのひとりだ。

正直、オリジナルよりも圧倒的にピクシーズのほうが良い。ニール・ヤング自身が絶賛したのも当然だろう。

それにしてもピクシーズ、音だけで聴いていれば、なんともプリティなバンドだ。

↓ ニール・ヤングのオリジナル。