No.043 クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング/ヘルプレス (1970)

Deja Vu
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その43
Crosby, Stills, Nash & Young  Helpless

もともとはバーズ、ホリーズ、バッファロー・スプリングフィールドという、60年代のロックシーンで活躍したバンドのメンバーだった3人が集まって結成されたのがクロスビー、スティルス&ナッシュというスーパー・グループだ。
彼らは美しいコーラスとアコースティックサウンドの1stアルバムで人気を博し、ウッドストックにも出演した。
まさにヒッピー・カルチャー時代の象徴のような存在だった。

その後ニール・ヤング加わって4人となり、この傑作2ndアルバム『デジャ・ヴ』が誕生する。
ヤングが加わったことによって緊張感が強まり、厳しさが増し、ロック感が高まり、楽曲も充実して個性の強い名曲揃いのアルバムとなった。
1970年3月、まさに60年代の終焉と70年代の幕開けを象徴するアルバムである。

当時はちょうどビートルズが解散した直後だったので、ロックファンからは「70年代のビートルズ」と期待されたそうだが、メンバーの個性のぶつかり合いはどうやらビートルズなんて目じゃないぐらいだったらしく、わずか1年ほどで解散してしまう。

初めてこの「ヘルプレス」を聴いたのはまだニール・ヤングなんて名前ぐらいしか知らない頃だった。
アルバム全体にテンション高めの曲が多い中で、なんだか止まりそうなぐらい遅いイントロが疲れきったように始まり、ニール・ヤングの力が抜けきって宙にへろへろと漂うようなか細い歌声が衝撃的だった。
曲はシンプルそのもの、DとAとGのコードを繰り返しているだけなのに、1度聴いたら忘れられない美しさだ。

ニール・ヤングの自伝によれば、この曲のレコーディングでは、メンバーと演奏しながら歌を入れたそうだ。
シンプルで力の抜けきったサウンドを求めたがなかなか理解されず、ドラマーが食い気味になったり、必要のないオカズやアクセントをあちこちに入れたり、ベースの音数が多すぎたりするので、深夜まで何度も繰り返して演奏させて彼らを疲れさせ、余計なことをせずただゆっくりと演奏するようになるまで粘ってこのテイクを完成させたという。
たしかにもう、全員死にそうな感じだ。

この曲は学生闘争を描いた1970年の映画『いちご白書』でも使われた。
熱狂的な闘争に明け暮れ、学部長室や講堂を占拠した学生たちも、夜になると床の上でそれぞれが毛布にくるまってあどけない子供のような寝顔で眠りこけている映像にのせて、この曲が流れる。
凄く印象的なシーンだった。

記事を書いた人(Goro)

愛知県在住。中学卒業後、無知蒙昧のまま社会にさ迷い出て、底辺職を転々した後、地元の映画館に拾われる。映画館に10年勤めた後、レンタルビデオチェーンのバイヤーを20年勤め、現在は再び底辺職で肉体労働の日々に返り咲く。心に平安が訪れている。生活に不満はなし。音楽にはいろいろと救われている。「映画は映画館で観なきゃダメ派」ではない。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする