【ディランのアルバム全部聴いてみた】『アット・フィルハーモニック・ホール』(2004)

Bootleg Series 6: Concert at Philharmonic Hall

【ディランのアルバム全部聴いてみた 47枚目】
Bob Dylan “The Bootleg Series Vol. 6: Bob Dylan Live 1964, Concert at Philharmonic Hall”

可愛い声だな。
23歳のディランの歌声だ。

ブートレッグ・シリーズの第6集は、1964年10月31日、ニューヨークのフィルハーモニック・ホールでのライヴを収録したCD2枚組だ。

ディランの弾き語りのみで、バンドは無し。途中、3曲ほどゲストのジョーン・バエズとのデュエットがある。ゲストというか、当時は恋人同士だったかな。

会場はたぶん、全員着席でディランの一語一句に耳を澄ませているかのように静まり返っている。野次などは一切なく、時には盛大な拍手が起こり、時にはディランのジョークやユーモラスな歌詞に大きな笑い声が起こる。ディランもとても気分よく歌っているのがわかる。

この1年半後のライヴでは、ロック化が気に食わない観客たちの「裏切り者!」だの「お前の歌なんか二度と聴かない!」などの怒号が飛び交うのだからわからないものである。どんなジャンルにも、はた迷惑な原理主義者というものはいるものだ。

5枚目の『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』をリリースする5カ月前のライヴということになるが、当時はまだレコード化されていなかった「ミスター・タンブリンマン」をディランが歌い出すと盛大な拍手が巻き起こるのがなぜなのかよくわからない。ライヴですでに評判になっていたということだろうか。

そしてこの日一番盛大な拍手が送られたのは「はげしい雨が降る」だった。当時の人気のほどがよくわかる。なぜか「風に吹かれて」は収録されていない。

意外にも、ディランの弾き語りのみのライヴ盤というのはこれが初めてなのだ。ディランが時代の寵児として注目を集め、世界中の若者たちに多大なる影響を与えた頃の歌声だ。

当時23歳のディランの歌声は、まだ少年の面影を残すような溌剌とした若さと、可愛らしさを感じる。若い頃の郷ひろみみたいな。
声も良く伸びているし、あらためて上手いなあと思う。

ライヴ冒頭でディランが登場したときに、若い女の子たちの「キャーッ」という黄色い歓声が聞けるのもこのライヴぐらいだろうな。

↓ こんな動画しかなくてごめんなさい。

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