チャック・ベリー/メイベリーン (1955)【’50s Rock Masterpiece】

Maybellene / Wee Wee Hours

【50年代ロックの名曲】
Chuck Berry
Maybellene (1955)

今でもたまにチャック・ベリーのアルバムを大音量で聴いてみたりするのだけれど、聴くたびにますます好きになっていく。年を取るにつれて、偉大な祖父の凄さがどんどんわかってくるような感じだ。彼の弾く、キラキラと輝きながら疾走する躍動感のあるギターは、何よりも爽快な気分にさせてくれる。

米ミズーリ州セントルイス出身のチャック・ベリーは、自動車工場で働きながら地元のバンドで活動する日々を送っていた28歳の5月のある日、シカゴに親戚がいるという友人を乗せて、買ったばかりの新車でシカゴへ遠乗りに出かけた。

友人の親戚の家でご馳走になった後、チャックは憧れのブルースマンたちの演奏を観るためにシカゴのサウスサイドのクラブをハシゴした。

そして彼が最も敬愛するマディ・ウォーターズのステージを観た後で、ファンに囲まれていたマディと話せるチャンスが訪れた。

チャックは憧れの神様の前で緊張しながら、曲の素晴らしさを絶賛し、そして「レコードを作るにはどうしたらよいのか」と尋ねた。
マディは「47丁目の角にあるチェスレコードのレナード・チェスに会ってみろ」と答えたという。チャックはもちろん、その通りにした。

それからわずか2ヶ月後の1955年7月、チャック・ベリーはシングル「メイベリーン」でチェスレコードからデビューする。それが全米5位の大ヒットとなり、100万枚以上を売り上げ、一躍レーベルの稼ぎ頭となったのだ。

ロックンロールの神様を誕生させたのは、ブルースの神様だった。
まるでロックンロール神話の創世記の一節のようだ。

チャック・ベリーは最初からチャック・ベリーだったんだなあと、この曲のスピード感のある完璧な仕上がり具合に、さすがと唸らざるを得ない。天才というのはこういうものなんだろう。

時速150kmでキャデラックをぶっ飛ばすメイベリーンという女の子を、V8フォードで追いかけるという歌詞だ。この歌詞がまたカッコいい。興味のある人はググればすぐに和訳が見つかるはずだ。

ジョン・レノンがチャック・ベリーをロック界最高の詩人と評したのも頷ける。

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