No.132 ザ・キンクス/ヴィクトリア (1969)

Arthur
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その132
THE KINKS  VICTORIA

キンクスが1969年に発表した『アーサー、もしくは大英帝国の衰退並びに滅亡』というコンセプトアルバムの冒頭を飾る曲だ。
シングルカットもされたけど、全英チャートで最高位33位という、ポテンヒットぐらいだった。

とにかくこの頃のキンクスは売れなかったのだ。
アルバムも、69年と言えば、ビートルズが『アビイ・ロード』で全英1位、ストーンズが『レット・イット・ブリード』で同じく全英1位、ザ・フーが『トミー』で全英2位と大ヒットしていたが、キンクスのこの『アーサー…』は50位にも入らない「チャート圏外」だった。
あんなに素晴らしいアルバムなのに。

当時の事情はよく分からないけど、売れなくなってしまったのは、「ユー・リアリー・ガット・ミー」のようなディストーションギターによるロケンロールをやめてしまったせいかもしれないし、前作の『ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』から続く、古き良きイギリスを称えた一見保守的な作風にファンがついてこれなかったか、単に毎回タイトルが長すぎるのもあってキワモノ扱いを受けて避けられたか。

「ヴィクトリア」は19世紀末大英帝国のヴィクトリア女王のことで、世界中に植民地支配を拡大していた頃の女王だ。

皮肉屋のレイ・デイヴィスがどんなつもりで歌っているのか知らないが、わたしは変に深読みはせず、古き良きイギリス人の想いが肯定的に描かれているものと捉えている。

あのカウンターカルチャーの時代に、若いロックバンドが「古き良きイギリスへの郷愁」なんかを歌っていたらやっぱり売れないのかな。
わたしは全然いいと思うのだけど。

この時代のキンクスのコンセプトアルバムはすべて充実した内容の名盤だ。
なぜ売れなかったのか、なぜビートルズやザ・フーと同じくらい評価されなかったのか、わたしには謎でしかない。

時代の先を行き過ぎたのだろうか。

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