子供の頃にナニゲに耳に入ってきていた流行歌というものは、1回か2回聴いただけで覚えてしまったものだった。
あの頃はまだわたしの脳みそも真っさらのピカピカで、フル稼働していたのだろう。今はもう干からびてポンコツになり、メモリーも満タンになってしまったので、新しい曲のタイトルすら覚えられない。
三つ子の魂百までじゃないけど、少年時代に覚えた歌というものは、一生涯忘れることがないものだ。
きっとその後の音楽の好みの形成にも、かなり大きな影響を与えているのだろう。
わたしが西城秀樹の歌をよく聴いたのは、1976~80年ぐらいだ。
小学校から中学ぐらいにかけての頃で、ヒデキのファンというわけではなかったものの、その頃はとにかくラジオの音楽番組ばかり聴いていたので、流行っている歌はなにもかも聴いていた頃だった。
ヒデキはアイドルといっても、ハスキーな声でセクシーに歌うワイルドなキャラで、けっこう直截的なエロを歌っていて、大人は眉をひそめ、子供は頬を赤らめ、女子は股間を火照らしていた印象だった。
そんなヒデキの数あるヒット曲の中で、わたしがとくに好きだったのは以下の3曲だ。
作詞:阿久悠 作曲:大野克夫 編曲:萩田光雄
阿久悠と大野克夫のコンビなので、沢田研二の「勝手にしやがれ」「サムライ」などの名コンビだ。
ちょうどTBSの『ザ・ベストテン』の放送が始まった頃で、第1回の放送で「ブーツをぬいで朝食を」は7位、そして第4回の放送でピンクレディーの「UFO」を追い落として1位となった。
2週連続1位となったが、ちなみに「ブーツ」を抜いて1位になったのが「サムライ」だった。
作詞:阿久悠 作曲・編曲:三木たかし
この曲がわたしが最初に好きになったヒデキの曲だった。
わたしは小4で、当時はタイトルも歌手も知らないまま、サビの部分をよく口づさんでいたことを記憶している。
もちろんタイトルや歌詞の意味のなど知る由もない。
作詞:阿久悠 作曲・編曲:馬飼野康二
それにしても3曲とも、まだ小学生のくせに、なんだか大人びた曲が好きなマセガキだったのかもしれない。
この曲も凄く好きで、意味もわかってないくせにちょっと感動して涙ぐみながら聴いていたことを憶えている。
それにしてもこの頃のアイドルって歌が上手いな。
西城秀樹は昨日、急性心不全で、63歳で死去した。
わたしを音楽好きに育ててくれた昭和の大スターが、またひとり逝ってしまった。
先週、有吉とマツコの番組で、「広島出身アーティストCD(レコード)売り上げランキング」などというものを発表していたのをたまたま見た。
有名ミュージシャンの多い広島で、矢沢永吉やポルノグラフィティ、T-BOLAN、吉川晃司などを抑え、堂々の1位が西城秀樹だった。
その人気の高さ、国民的歌手として残した偉大な足跡とその存在の大きさを、あらためて知る思いだった。矢沢永吉が1位と聞くよりも、なんだか嬉しかった。
なにより、われわれの世代に最初に音楽の楽しさを教えてくれたのは、彼らのような歌手たちだったのだ。
心よりご冥福をお祈りします。