ザ・ローリング・ストーンズ/ジグソー・パズル(1968)

ベガーズ・バンケット

ザ・ローリング・ストーンズ
【100グレイテスト・ソングス】#44
The Rolling Stones – Jigsaw Puzzle

ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』(1966)によって生まれた「コンセプト・アルバム」という概念は、ブリティッシュ・ビートのバンドたちにも大きな影響を与え、ビートルズは『サージェント・ペパーズ』、ザ・フーは『トミー』で大成功を収め、キンクスも『ヴィレッジ・グリーン』『アーサー』『ローラ』と名盤を連発した。なのにストーンズだけが『サタニック・マジェスティーズ』で失敗してしまった。

しかしその次のアルバム、『ベガーズ・バンケット』こそが、ストーンズによるコンセプト・アルバムの大傑作だったとわたしは思っている。
そのアルバム・コンセプトは、「アメリカ南部のルーツ・ミュージック」だ。

悪魔に魅入られた音楽家たちが、人生と引きかえに音楽を手に入れる南部の地の、重労働者や女工や売春婦や放蕩息子や奴隷やジャンキーたちの生活が描かれ、苦渋と怒りと諦念とほんの少しの歓びによって人々の唇から生まれるメロディが、人種を超えて土地に根付いたサウンドで奏でられる、そんなコンセプト・アルバムである。とわたしは勝手に思っている。

この曲はレコード時代に、A面の最後に収められた曲だった。
ちょうど悪魔がこの世の真相を解いて見せたオープニングの「悪魔を憐れむ歌」と対を成す、この世の真相が解けないでいる哀れな人間の歎きや絶望のようでもある。

アコギの響きとパーカッシヴなリズム、ミック・ジャガーの無力感や徒労感に疲れきったようなヴォーカルが印象的な、独特の浮遊感でそのまま南部の空を、答えを探しながら漂い続けるような曲である。

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