ザ・ローリング・ストーンズ/ハッピー(1972)

メイン・ストリートのならず者

ザ・ローリング・ストーンズ
【100グレイテスト・ソングス】#45
The Rolling Stones – Happy

1972年の名盤『メイン・ストリートのならず者』収録曲で、キース・リチャーズがリード・ヴォーカルを取った初めてのシングルとしても発売された。全米22位。

キースがパッと思いついて、その場にいたボビー・キーズにバリトン・サックスを吹かせ、ジミー・ミラーにドラムを叩かせ、3人でサッと録音された、そんな曲だそうだ。ベースとギターはキースが弾いて多重録音している。

キースはこの曲を例に挙げて、曲を書くということの本質について、こう語る。

素晴らしい歌は自分で自分を書いちまう。人は鼻や耳をつかまれて導かれるだけだ。そのじゃまを極力避けるのが技術ってやつだ。知性を無視しろ、全部無視しろ。歌が連れていくところにただついていけ。人はそれをどうこうできるわけじゃないんだ。とつぜん歌はそこにあるのさ。

(『ライフ』キース・リチャーズ著 棚橋志行訳)

これは聴き手としてもすごくよくわかる。

人の手でこねくり回されて作られた歌にももちろん良いものはあるとしても、なにもかもが自然に響き、人の手の痕を感じさせないような歌はまっすぐ胸に突き刺さってくる。それこそがわたしがいつも探し続けている本物の「歌」である。

残念ながら21世紀になって、そんな「歌」はロック・シーンにほとんど生まれてこなくなった。なんとか過去の名曲と違うものに仕立てようと、よってたかってこねくり回し、余分なものを山ほどふりかけたような、一見新しいように見えるだけの「録音物」ばかりが聴こえてくる。
そうではない、人間の手垢がほとんど感じられない、新しいも古いも超越した、一生飽きないホンモノの「歌」が聴きたいのに。

そんなホンモノの「歌」を何百曲と生み落としたバンドだったのだ、ストーンズは。

記事を書いた人(Goro)

愛知県在住。中学卒業後、無知蒙昧のまま社会にさ迷い出て、底辺職を転々した後、地元の映画館に拾われる。映画館に10年勤めた後、レンタルビデオチェーンのバイヤーを20年勤め、現在は再び底辺職で肉体労働の日々に返り咲く。心に平安が訪れている。生活に不満はなし。音楽にはいろいろと救われている。「映画は映画館で観なきゃダメ派」ではない。

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