ボブ・ディラン/時代は変わる(1964)

時代は変る(期間生産限定盤)

【60年代ロックの快楽】
Bob Dylan – The Times They Are A-Changin’

ディランの3枚目のアルバム『時代は変わる』のタイトル曲だ。
初期の弾き語り時代のディランの曲では「風に吹かれて」と並んで有名な曲である。

国中のおとうさん、おかあさん
わからないことは批評しなさんな
息子や娘たちは あんたの手に負えないんだ
昔のやりかたは急速に消えつつある
新しいものをじゃましないでほしい
助けることが出来なくていい
とにかく時代は変わりつつある
(written by Bob Dylan 訳詞:片桐ユズル)

わたしはこの曲の、なんだか自信に満ち溢れたようなメロディと歌声が好きだ。

今まさに時代を変えている真っ最中の若者による「時代は変わる」というメッセージは説得力もあっただろうし、同世代の若者たちは自分の思いを代弁するディランに圧倒的な共感を覚えたに違いない。その声が国中のラジオから流れ、新しい時代がやってくる期待と興奮に包まれながら聴いたに違いない。

しかしこの歌の歌詞は、あの時代の若者だけではなく、いつの時代の若者も共感する、普遍的なものだ。

わたしの思春期にもやはりまったく同じことを思っていたし、現在の若者もきっと同じ思いだろう。今、隣の部屋でベッドに寝転がりながら、コードレスイヤホンを着けてスマホをいじっている娘もきっと同じだろう。わたしは彼女の邪魔をしない。彼女の好みや考えや生き方を批評しない。もちろん、いざというときには助けるけれども。

そして年をとれば、次は娘がわたしの立場になる。世代は順番に交代し、人々の考えや社会は変化し、時代は変わり続けているけれども、結局いつの時代も人はみんな同じ経験をして生きていくだけとも言える。

ボブ・ディランは、アメリカで誕生したロックンロールという音楽を単なる陽気で賑やかなダンス・ミュージックに終わらせず、問題意識やメッセージの発信、あるいは文学的な表現の可能性を切り拓いた。
それによってロックは音楽の枠を超えて新たな文化として確立し、若者たちの意識や価値観、生き方に大きく影響を及ぼした。

その意味で実際のところボブ・ディランは、時代を変えちゃったことに間違いはない。

記事を書いた人(Goro)

愛知県在住。中学卒業後、無知蒙昧のまま社会にさ迷い出て、底辺職を転々した後、地元の映画館に拾われる。映画館に10年勤めた後、レンタルビデオチェーンのバイヤーを20年勤め、現在は再び底辺職で肉体労働の日々に返り咲く。心に平安が訪れている。生活に不満はなし。音楽にはいろいろと救われている。「映画は映画館で観なきゃダメ派」ではない。

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