【ディランのアルバム全部聴いてみた】『アンダー・ザ・レッド・スカイ』(1990)

アンダー・ザ・レッド・スカイ(紙ジャケット仕様)

【ディランのアルバム全部聴いてみた 35枚目】
Bob Dylan “Under the Red Sky”

プロデューサーはウォズ (ノット・ウォズ)のウォズ兄弟とディラン自身。
せっかく前作の『オー・マーシー』で起死回生となったのに、またもや豪華アーティストの名前が列挙されただけの残念作に逆戻りだ。

セールス的にはそういうのは引きになるのかもしれないけれど、アルバムの出来とは関係ないものだ。そうやって集まった、なんの目的も方向性も共有していないベテラン・ミュージシャンたちが奏でているのは、出涸らしみたいに味がしない、どうしようもないほど空虚なロックンロールだ。

かろうじて聴けるのは、タイトル曲の「アンダー・ザ・レッド・スカイ」。
アル・クーパーがキーボードで参加した、60年代のフォーク・ロック風の曲だ。この曲にはジョージ・ハリスンが参加している。

ジャケットに写る49歳のディランは、疲れきった様子で荒野のような場所に座り込んでいる。
デビューから30年、彼はこの荒野に辿り着き、もうこれ以上行ってもなにもないことに気づいたかのようだ。

彼の長かった旅は、ここで一旦終わりを迎えたのだ。

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