シェリル・クロウ/ストロング・イナフ(1994)

チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ

【女子ロックの快楽】
Sheryl Crow – Strong Enough

デビュー・アルバム『チューズデイ・ナイト・ミュージック・クラブ(Tuesday Night Music Club)』からのシングルで、全米5位の大ヒット曲。
シンプルなメロディとサウンドに、リアルな感情が込められた、いろんな思いを掻き立てられる歌だ。

常に真剣に、人生と向き合って生きている女性が、彼を本気で愛そうとしているほど、相手はそうでもないようで、イラついてるようだ。
彼女は彼を、人生のハードな場面で逃げ出しそうな男でないことを願っているけど、どうやらそれほどの覚悟は男のほうにはないらしい。

「あなたはわたしの男になる、充分な強さを持ってる?」と彼女は繰り返し訊く。

ほとんどの男は、そう訊かれたら「ごめんなさい」と言って、逃げ出してしまう気がする。

やっぱり、才色兼備のイイ女のパートナーにふさわしい男はそうそう見つかるものではないのだ。

わたしなどはそんな女性の前では、ミドリムシぐらいの存在でしかない。間違って踏みつぶしてもらえたら、それだけで幸せである。
ただし、今世はさすがにあきらめたけど、来世では「あなたはわたしの男になる、充分な強さを持ってる?」と訊かれたら、「イエース」と答えられる男になろうと、すでに目標を立てている。

この曲を収録したシェリル・クロウのデビュー・アルバムは、1度は完成したものの、そのプロデュース・ワークを彼女は気に入らず、「自分のやりたい音楽とは違う」とレコード会社を説得して発売を中止させ、再度録音し直したのだそうだ。

結果、録り直して発売されたデビュー・アルバムは、全米3位の大ヒットとなった。
たしかに彼女は、充分に強い。

ただ、この声だけを聴くと、決して鉄の意志を持った完璧な女という感じではなく、人並みの弱さや、甘えたところや、子供っぽいところもチラチラ窺えるような、アンバランスな声がまた感情を複雑にさせるのだ。
わたしが彼女を好きな理由は主にそこだと思う。

デビュー以前は小学校の教壇に立って子供たちに音楽を教え、グラミー賞を9回も獲り、過去に大物ミュージシャンやハリウッド俳優、自転車のプロ選手(婚約するも破局した)などと数々の浮名を流した彼女は現在58歳で独身、乳がんも克服して、乳児の時に養子縁組した13歳と10歳の2人の男の子を育てている。

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