メンズウェア/ビーイング・ブレイヴ(1995)

Nuisance

【ブリット・ポップの快楽】
Menswear – Being Brave

ロンドン出身のバンド、メンズウェアは、良くも悪くも時代の寵児だった。

音楽よりも先にそのキメキメのルックスが注目を浴びて、すでにCDデビュー前からテレビ出演し、音楽誌のグラビアを飾るなど、注目を集めた。

当時の日本では女性ファンを中心に、本国以上に人気が過熱していたらしい。
調べてみると、まだデビューから2カ月しか経っていない1996年1月に、すでにrockin’ on誌の表紙を飾っていた。これは、どエラいことだ。
当時定期購読者だったわたしがそれをどう思ったかは忘れたが、たぶん「rockin’ onよ、血迷ったか!」ぐらいに思ったのではないかと思う。
デビュー前から煽りまくってくれたわりには、聴いてみたらそんな大騒ぎするほどのものではなかった、というのがわたしの正直なところだったのだ。

そして現在、メンズウェアのウィキを見てみると、文中にわざわざ太文字で「ブリットポップの徒花」とあるのが嫌でも目に入る。人気が過熱しすぎたものほど、その反動は冷たいものだ。本人たちはなにも悪くないのに。

98年には2ndアルバムを録音までしたはいいが、本国では契約先が見つからず、日本のみでのリリースとなったそうだ。その日本でもあまり売れず、その年に彼らは解散した。

まさに時代の徒花らしい急速なフェード・アウトだけど、まあそもそもロック・シーンなんて、いつの時代もたくさんの徒花たちがつくって来たものだ。

メンズウェア好きのわたしの親友が最近SNSでメンズウェアのことを「ロックバンドがチャラいアダバナで何が悪い!」と書いていたが、名言というほかない。

そもそもロックなんて、色男だろうがバカだろうが悪人だろうが、誰がどんなふうにやったっていいのだ。才能なんてあろうが、無かろうが。
勝手に大さわぎしたり、チヤホヤしたり、飽きたり、批判したりしてるのは、メディアとリスナーのほうなのだ。

あれから25年、その徒花の曲を今頃になって「なかなかいいじゃない」と思いながらノスタルジーに浸り、こんな記事を書いているわたしのような者こそ、いちばん節操のない、いい加減なリスナーなのだろうけれども。