スーパーグラス/コウト・バイ・ザ・ファズ(1994)

I SHOULD COCO

【ブリット・ポップの快楽】
supergrass – caught by the fuzz

この曲で彼らがメジャー・デビューしたとき、ヴォーカルのギャズ・クームスは当時18歳。いかにも若者らしい、初期衝動のエネルギーが充満した闇雲な疾走感を感じる。パンク風のラウドなサウンドとポップなメロディの融合は、いかにもなブリット・ポップだった。

わたしは当時28歳で、1歳年下のノエル・ギャラガーや2歳年下のデーモン・アルバーンぐらいまでは「同世代」と感じていたけれど、さすがに10歳年下のスーパーグラスはそうは思えなかった。

ついに新世代が出て来たなあと、急にオッサンになったような気分になり、不思議なもので、10歳も年下の連中がやる音楽には、それがたとえわたしが好きなパンク風の音楽であっても、なぜか共感したり、アツくなったりはしないのだった。

その後続々と出てくるブリット・ポップの若いバンドたちも明らかに新世代であって、これでもうわたしも新しいロックを聴いてもピンと来なくなるのかなあ、と淋しく思ったものだった。

実際、その通りになっていったけれども、しかし最近になって、まとめてブリット・ポップ期のアーティストたちの曲を聴き返してみると、あらためて楽しく聴けた。
当時はピンと来なかったアーティストや曲がなぜか25年の時空を超えてピンと来たり、楽しく聴けるのが不思議な気分だった。

それはノスタルジアによる楽しさもあるかもしれないけれど、若い頃の10歳の差に感じたジェネレーション・ギャップも、オッサンになってからの10歳差なら、たいして気にもならなくなったからなのかもしれない。
ちょっと年の離れた親戚に例えると、20歳と10歳だった頃には話し相手にもならないけれども、55歳と45歳になればもう同じオッサン同士で酒を酌み交わして語り合えるようなものだ。

まあ、たしかに、30歳違う今のアーティストたちなんかに比べたら、ブリット・ポップ世代なんて同世代みたいなものだ。

それにしても、あれからもう、25年も経ったのだなあ。。