暴れ回る病気の子供みたいなヒリヒリする名盤 〜 ニルヴァーナ『ブリーチ』(1989)【最強ロック名盤500】#13

BLEACH: DELUXE EDITION

⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#13
Nirvana
“Bleach” (1989)

まあニルヴァーナの大名盤と言えばまずは2ndの『ネヴァーマインド』だろう。3rdの『イン・ユーテロ』の方が好きだと言う人もいる。でも1stの『ブリーチ』はその2枚に比べるとだいぶ影は薄い。あんまり「名盤」として語られることも少ない。

ニルヴァーナの地元、ワシントン州シアトルのインディ・レーベル《サブ・ポップ》から1989年6月にリリースされた1stアルバム『ブリーチ』は、パジャマのまま元気いっぱいに叫んで暴れ回る病気の子供みたいなアルバムだ。その放射するエネルギーにはもの凄いパワーを感じるのだけれど、どこか病んでいるような、過剰にヒリヒリしたところがある。

わたしも御多分に洩れず、『ネヴァーマインド』を聴いてから『ブリーチ』をきいたので、最初は粗削りな習作みたいに聴こえたものだ。
サウンドも随分ショボい感じがしたが、これはレコーディングにそんなに金をかけられないインディーズ音質のせいもあるし、ドラマーがまだデイヴ・グロールじゃないことも関係しているだろう。

しかし現在はリマスターもされて音質も向上した本作をあらためて聴いてみれば、それなりにニルヴァーナらしい、ハードコア的な重量感とメロディアスな歌が融合した、ちゃんとオリジナリティを感じる良質のパンク・ロック・アルバムであることを再認識させられる。

「Blew」「School」「Negative Creep」といった曲などは、後にリリースされたライヴ盤を聴いて、あらためてそのライヴ映えするカッコ良さを再発見したし、「About a Girl」はスルッと耳に入って来て離れないフックのあるメロディ、意外な曲展開による快感など、カート・コバーン流のソングライティングが覚醒した曲と言えるだろう。

ニルヴァーナの他のアルバムと比べればイマイチと感じるかもしれないが、当時「グランジ」などと括られて呼ばれていた、70年代ハード・ロックの焼き直しみたいなバンドたちのアルバムと聴き比べてみれば、オリジナリティにおいて雲泥の差があることがわかるだろう。そのうえカート・コバーンのあの絶叫を聴いたら、やっぱりシビれてしまうのだ。

もしもニルヴァーナがこれ1枚で解散してしまった無名のバンドだったとして、たまたまわたしがこのアルバムに出会っていたとしたら、「とんでもない大名盤を発見した!」ぐらいの勢いでこのブログで何度も絶賛していたに違いないだろう。

↓ ライヴではオープニングやその直後に演奏された、ライヴ映えする名曲「School」

↓ カート・コバーンの独特のソングライティングが覚醒した名曲「About a Girl」。

(Goro)

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