ティーンエイジ・ファンクラブ/エヴリシング・フロウズ(1990)

Catholic Education [12 inch Analog]

【90年代ロックの快楽】
Teenage Fanclub – Everything Flows

インディーズから発表した1st『カソリック・エデュケイション(A Catholic Education)』収録曲で、彼らの1stシングル。ノーマンの作だ。ティーンエイジ・ファンクラブと言えば、こういう感じね、というシンボリックな代表曲だった。現在のライヴでも必ず最後に演奏されている。

この肩の力の抜けた感じと低いキー、速過ぎないフォーク・ロック風のテンポ、初めてギターを手にした少年が嬉しすぎて延々とストロークでかき鳴らしてるような高揚感、そんな非プロフェッショナルな感じが当時は新鮮で、凄く良かった。こればっかり中毒みたいに聴いていた頃もあった。

1992年のレディング・フェスティバルはトリを務めたニルヴァーナのパフォーマンスがちょっとした伝説みたいになっているけれども、実は他にもスマパンやマニックスやこのTFCなど、素晴らしいパフォーマンスがたくさんあった。なぜか日本の音楽チャンネルで放送されたので、わたしは180分のビデオテープに録画して何度も繰り返し見たものだ。

TFCはこの1曲のみの放送だったが、観客との一体感が素晴らしかった。なんだかグッと来て、胸が熱くなったのを覚えている。6.5畳のアパートの部屋で。

1990年と言えば、前年にベルリンの壁が崩壊し、翌年にはソビエト連邦と東欧諸国も崩壊し、共産主義の時代が終わりを告げた。そして、イラクvs西側諸国による湾岸戦争が始まった。
日本では平成の時代が始まり、バブル経済が崩壊して、加速度的に景気が悪化していった。

「すべてのものが流れていく、僕はどうなっていくのか見当もつかない」と歌う、あの大きな変化が起こりつつあった時代の空気と、20代半ばで、今はまだこれは本当の自分ではない、なんてそろそろ言ってられなくなってきた自身の不安な気分に共鳴するような歌詞もよかったのだ。