名盤100選 52 チープ・トリック『グレイテスト・ヒッツ』(2002)

グレイテスト・ヒッツ

さあて、キング・クリムゾン、ピンク・フロイドと続いた陰鬱な空気をぶっ飛ばそう。

チープ・トリックである。
これほど楽しい気分にさせてくれるバンドも滅多にいない。
13歳のときに初めて聴いて好きになったが、今聴いてもやっぱり楽しい。

わたしは子供の頃、「ポップス」というのはイコール洋楽のことを指すのだと思っていた。
当時のFMラジオなどで「ポップスベストテン」と言えばたいてい洋楽のチャート番組だったからだ。
だからこのチープ・トリックあたりがわたしにとっての「ポップス」初体験だった。「ドリーム・ポリス」がヒットしていた頃のことだ。ポップスというのはこういうものか、となんだか知らないがものすごくワクワクしたことを覚えている。

初めて出会った「ポップス」がチープ・トリックで本当に良かったと思う。
おかげで「ポップス」を好きになることが出来た。
おかげで退屈しない人生を過ごすことが出来た。

チープ・トリックの音楽は、エルヴィスやビートルズなどが創造したポップソングの原点を敬意をこめて踏襲し、さらに天才的な閃きとしか思えない素晴らしいメロディにハード・ロック風のアレンジでスパイスをきかせて2倍楽しくなった音楽である。

エルヴィスと言えば「冷たくしないで」をチープ・トリックがカバーしているが、この出来がまた素晴らしい。
ほかにもファッツ・ドミノの「エイント・ザット・ア・シェイム」やビートルズの「デイ・トリッパー」や「マジカル・ミステリー・ツアー」など、カバー曲はどれもびっくりするほど素晴らしい出来なのはその演奏技術もさることながら、彼らがいかにポップ・ソングやロックンロールを深く理解し深く愛しているかということだと思う。

チープ・トリックはデビューから2~3年は本国アメリカではまったく売れなかった。
なのになぜか日本でだけはどんどん人気が上がっていった。
本国では無名のまま、79年に来日したときは空港でも大騒ぎ、車での移動時も少女のファンたちがタクシーを連ねて追っかけてきて、まるでビートルズのような光景だったという。

その来日時に行った武道館ライブが日本でレコード化され、それがアメリカに逆輸入されたことで火がつき、ついに本国でもブレイクすることになる。
ニルヴァーナのカート・コバーンも少年時代にこの「武道館ライヴ」をすごく気に入っていたと語っていた。

日本の少年少女たちはお目が高い。わたしも一応その中に含まれていたことを誇りに思う。

記事を書いた人(Goro)

愛知県在住。中学卒業後、無知蒙昧のまま社会にさ迷い出て、底辺職を転々した後、地元の映画館に拾われる。映画館に10年勤めた後、レンタルビデオチェーンのバイヤーを20年勤め、現在は再び底辺職で肉体労働の日々に返り咲く。心に平安が訪れている。生活に不満はなし。音楽にはいろいろと救われている。「映画は映画館で観なきゃダメ派」ではない。

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コメント

  1. ゴロー より:

    J-POP
    昔は洋楽は「ポップス」で邦楽は「歌謡曲」だったのだけど、たぶん20年ぐらい前から、邦楽をJ-POPと呼ぶようになりましたね。

    わたしはこのJ-POPという言葉は、いまだに恥ずかしくて使えません。

  2. r-blues より:

    ポップスは洋楽で、逆もまたしかり。
    >わたしは子供の頃、「ポップス」というのはイコール洋楽のことを指すのだと思っていた。

    私もそうだと思ってました。
    “ダイアトーンPOPS BEST10″で流れるモノは全てポップスだろと。

    ところで、”Fabulous 10 Songs”が復活して嬉しいです。

    私は、
    >4.If You Want My Love (1982 “One On One”)
    が、わたしの15歳の甘酸っぱい思い出がPTSDになった名曲だと錯覚して愛してます。

  3. フェイク・アニ より:

    やはりここは
    まーこさま出番です!