ヴァン・モリソン【名曲ベストテン】VAN MORRISON Greatest 10 songs

エッセンシャル・ヴァン・モリソン

北アイルランド・ベルファスト出身のヴァン・モリソンは、1964年にR&Bグループ、ゼムのヴォーカリストとしてデビューした。

しかし、バンドをポップ・スターのように売り出していこうとするレコード会社やマネジメントに嫌気がさして66年に脱退、翌67年にソロ・デビューする。
以降はR&Bやルーツ・ミュージックを礎に、ロックやポップスの枠にとらわれない実験的なサウンドや、オリジナリティ溢れる唯一無比の音楽を創造していった。

まさに音楽に魂を捧げたような、孤高の天才である。

ヴォーカリストとしての素晴らしさはもちろんだけれど、商業的成功も名声も眼中にないような、真に美しく、熱い感情が迸る、聴く者の魂を揺さぶるような音楽を創造する、ロックスターではなく「音楽家」としての真摯な姿勢は、ファンだけでなく同業のアーティストたちからもリスペクトを集めて来た。

わたしはつい4年ほど前に初めて彼の音楽を知り、一時期はほぼ毎晩のように聴いたほどハマったものだった。

わたしも若い頃に聴いていたら、よくわからなかったもしれない。

ブルース、カントリー、ジャズ、アイリッシュ・フォークといったルーツ・ミュージックの土壌から直接生まれた野生の草花のような音楽は、地味に聴こえるかもしれないが、それこそが商業主義や流行への追従にまったく毒されていない、天然物ならではの素朴な美が宿っている。それはもう、絶滅危惧種と言っても過言ではないほど、貴重な美しさである。

以下は、わたしが愛するヴァン・モリソンの至極の名曲ベストテンです。

第10位 ドミノ(1970)
Domino

4枚目のアルバム『ストリート・クワイア(His Band and the Street Choir)』からのシングルで、全米9位のヒットとなった。これはヴァン・モリソンにとってシングル・チャート最高位である。

「ドミノ」とはニューオーリンズR&Bのレジェンド、ファッツ・ドミノのことで、彼に捧げられた曲だ。彼から受けた大きな影響に対する、ヴァン・モリソンなりのニューオーリンズ・サウンドでの返礼である。

「ドミノ」の過去記事はこちら

第9位 テュペロ・ハニー(1971)
Tupelo Honey

5枚目のアルバム『テュペロ・ハニー』のタイトル曲、全米47位。「クレイジー・ラヴ」の変奏版みたいな曲だ。

美しいジャケットは、歩いているのがヴァン・モリソンで、馬に乗っているのが彼の奥様だ。なんだか童話の中の夫婦みたいな。この音楽の世界観にぴったりだ。

「テュペロ・ハニー」の過去記事はこちら

第8位 ブラウン・アイド・ガール(1967)
Brown Eyed Girl

前年にゼムを脱退したヴァン・モリソンの、ソロ・デビュー・シングル。いきなり全米10位の大ヒットとなった。

この曲は長く愛され続け、アメリカのラジオ局では通算1,000万回以上放送されたという、ヴァン・モリソンの曲の中では最も広く知られた曲である。

「ブラウン・アイド・ガール」の過去記事はこちら

第7位 グロリア(1964)
Gloria

ゼムのデビュー・シングルのB面として発表された、19歳にしてすでにヴァン・モリソンの天才が炸裂した名曲。シビれるほどカッコいい。

多くのカバーを生み、中でもパティ・スミスのバージョンは、NYパンクを象徴する1曲となり、パンクスたちにも愛された。

「グロリア」の過去記事はこちら

第6位 アストラル・ウィークス(1968)
Astral Weeks

ヴァン・モリソンがその真のオリジナリティを開花させた2nd『アストラル・ウィークス』のタイトル曲。

どんなジャンルにも当てはまらない、革新的で衝撃的な音楽だ。
繰り返し聴くうちに、その異様さ、美しさ、激しさ、奥深さは、まるで宇宙の深淵を覗くような気分になってくる。

「アストラル・ウィークス」の過去記事はこちら

第5位 キャラヴァン(1970)
Caravan

ロック史上の十指に入る名盤3rd『ムーンダンス(Moondance)』収録曲。

映画『ラスト・ワルツ』で、ザ・バンドと共に熱演を繰り広げたことでも知られた曲だ。

オリジナルはさらにキレの良い演奏が素晴らしい。

「キャラヴァン」の過去記事はこちら

第4位 ストーンド・ミー(1970)
And It Stoned Me

『ムーンダンス』のオープニング・トラック。

イントロなしでいきなりヴァン・モリソンの幽玄な世界へ引きずり込まれる。
じんわり心に沁みるメロディ、胸を熱くする独特のアコースティック系R&Bサウンド、魂の音楽に出会えた感動が襲う。

「ストーンド・ミー」の過去記事はこちら

第3位 ムーンダンス(1970)
Moondance

ジャズ風のアレンジがカッコいい、3rd『ムーンダンス』のタイトル・トラック。

たった24歳の若者が、とんでもない境地に達したことに鳥肌が立つほどだ。

ロックの枠を超えた〈夜の音楽〉だ。

「ムーンダンス」の過去記事はこちら

第2位 クレイジー・ラヴ(1970)
Crazy Love

『ムーンダンス』からのシングルで、そのシンプルでロマンティックな曲想で広く知られたヴァン・モリソンの代表曲。

ヴァン・モリソンの囁くようなヴォーカルと、絡み合う女声コーラス、アコギの美しい響きが感動的だ。いつ聴いても、涙が出そうになる。

「クレイジー・ラヴ」の過去記事はこちら

第1位 イントゥ・ザ・ミスティック(1970)
Into the Mystic

わたしがヴァン・モリソンに最初にハマったのがこの曲だった。

特徴的なベースラインがまず耳に残り、ところどころに入るアコギの小さな美しいフレーズに心奪われ、管楽器のフレーズが頭から離れなくなった。

聴くたびに心の奥深くへと入り込んでくる気がした。
眠れない夜によくこの曲を聴いたけど、何度聴いても飽きない。

「イントゥ・ザ・ミスティック」の過去記事はこちら

入門用にヴァン・モリソンのアルバムを最初に聴くなら、ベスト盤よりもロック史上屈指の名盤『ムーンダンス(Moondance)』からぜひ聴いてほしいと思う。

選んだ10曲がぶっ続けで聴けるまとめ動画集をYouTubeで作成しました。

↓まとめ動画集

以上、ヴァン・モリソン【名曲ベストテン】 VAN MORRISON Greatest 10 Songsでした。(by goro)

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