Van Morrison & The Band – Caravan
豪華ゲストを迎えて行われ、映画化もされた、ザ・バンドのラスト・コンサート、『ラスト・ワルツ』でのコラボ。
曲はヴァン・モリソンの超名盤『ムーンダンス』収録の名曲「キャラヴァン」だ。
ヴァン・モリソンはもう、歌になってないような歌い方だけど、これが当時の彼の独特の唱法だ。
原曲も、ヴォーカル中心に聴く一般的なポップスのスタイルではなく、すべての楽器が意志を持って絡まり合いひとつの音楽を奏で、声もその楽器のひとつにすぎないような、シンフォニックな楽曲になっている。
一夜限りのコラボなのでオリジナルほどビシッとキマった演奏にはなっていないけど、ザ・バンドのメンバーの実に楽しそうな表情と、ヴァン・モリソンの求道者のように音楽に没入する様子の好対照から始まり、どんどん興が乗ってヴァンが弾けていく姿がサイコーだ。
この映像を撮ったのは『ウッドストック』の撮影監督も務めた、マーティン・スコセッシ監督だ。ちょうど彼の代表作『タクシー・ドライバー』が公開した年だった。
この時代にスコセッシ監督ほどロックという音楽を理解し、リスペクトし、熱心に作品に使用した映画監督はいなかった。
この『ラスト・ワルツ』や『ウッドストック』が彼によって撮られ、その素晴らしい出来によって、時代を超えて何世代ものロック・ファンに観続けられたことはロックにとって幸運という他ない。
なんたって、あのマーティン・スコセッシに撮ってもらえたんだから。
オリジナルは、ホーンもアコギもリズム隊も、さらにキレのいい名演だ。