No.071 ビリー・ジョエル/ムーヴィン・アウト (1977)

ストレンジャー(期間生産限定盤)
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その71
Billy Joel – Movin’ Out Anthony’s Song

少年時代のわたしの、洋楽初体験がこのあたりだ。
当時はレコードを聴くなんて「贅沢」なことはできなくて(わが家にはレコードプレーヤーが無かった)、ラジオのヒットチャートばっかり聴いていたものだった。

なにしろまだ小学校高学年ぐらいのことだ。
沢田研二や山口百恵が常連の歌謡曲のチャートのほうに熱心ではあったけど、ついでみたいに洋楽チャート番組を聴いているうちに、少しずつ耳慣れた曲が増えてきて(チャート番組は同じ曲が毎週流れるのがいいのだ)、好きな曲が少しずつできてきたころだ。
その中に、アバやチープ・トリックやブロンディといっしょにビリー・ジョエルのヒット曲もしょっちゅうラジオから流れてきたものだ。

その1977年の大ヒットアルバム『ストレンジャー』を、貸しレコード店で借りて初めてちゃんと聴いたのはその4~5年後くらいのことだ。

今聴いても名曲ぞろいの素晴らしいアルバムだけど、とくに「ムーヴィン・アウト」はラジオで何度か聴いて気に入っていた曲だった。
当時はまだ子供だったからかもしれないけど、バラード系の曲よりこういう曲のほうが好きだったのだ。

雑貨屋で働くアンソニーやバーテンダーの元軍曹が
せっせと働いて小金を貯めて小さな家やキャデラックを買うことを夢見てるけど
おれはそんなことがすべての人生なんてゴメンだ
ここから出ていくよ
(written by Billy Joel)

やっと手に入れたあこがれの車を休日にせっせと磨くことが楽しみの人生も悪くないじゃないか、なんて今のわたしなら思ってしまうけど、当時はそんな気分の時代だったのだ。

なにかあたりまえのことだけで終わる人生じゃなくて、いろいろな可能性を追い求めてみたい、と多くの人が思っていた時代だったと思う。
世の中は急激な進化の真っ最中で、可能性は無限で、現在よりも未来のほうが必ず良いものになっているはずと信じていた時代だ。

残念ながら今はそうじゃないようだけど。

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