No.235 C.C.R./ダウン・オン・ザ・コーナー (1969)

Willy & The Poor Boys
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その235
Creedence Clearwater Revival – Down On The Corner

C.C.R.の音楽は、カントリーとブルースの絶妙なブレンドで生まれた、不純物無しのアメリカンロックの原点のようなものだ。

彼らのシンプルな音楽の素晴らしさ、ロック史における重要性、そしてジョン・フォガティのパフォーマーおよびソングライターとしての才能の大きさはもっと評価されてもいいように思う。

しかしそれだけの才能を持ちながら、ジョン・フォガティは不遇な音楽人生を歩んできた。
C.C.R.時代はたくさんのシングルをヒットさせながら全米1位を獲ることは最後までできなかった(2位は5曲もある)。
またバンドはジョンのワンマンバンドになっていったことで人間関係が悪化し、最後のアルバムはメンバーの書いた曲を平等に採用して平等に歌わせるという民主的なコンセプトで制作されたが、案の定失敗に終わって、解散した。
わたしの持論でもあるけど、音楽や芸術というものは、民主的にやって成功することはまず無いと言っていいと思う。

ソロになってからも古巣のレコード会社との訴訟に巻き込まれてC.C.R.時代に自分で書いた曲も歌うことができなくなり、10年ぶりにソロアルバムを出せばまた同じレコード会社から訴訟を起こされるなど、音楽活動に嫌気がさして隠遁生活をしていたらしい。
哀しむべきことに、彼は30~60歳の30年間でたった4枚のアルバムしか発表することができなかったのだ。

2000年代に入ってやっと訴訟問題も解決し、古巣のレコード会社からアルバムを出すなど精力的に音楽活動を再開した。

この動画は2005年、彼が60歳のときのものだ。
伸び伸びと歌うジョンの、まったく衰えを見せていないヴォーカルに驚かされる。
観客も往年の名曲がまったく色褪せずに再現され、本当に嬉しそうだ。
わたしも元気に飛び跳ねているジョンを見ながら、ちょっと涙がにじんできた。