No.449 ピンク・フロイド/タイム (1973)

狂気(紙ジャケット仕様)(完全生産限定盤)
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その449
Pink Floyd  – Time

ピンク・フロイドの代表作『狂気』に収録された名曲だ。
ピンク・フロイドの曲の中で、わたしはこれがいちばん好きかもしれない。

2分近くに及ぶ長い長いイントロが終わると、満を持したデヴィッド・ギルモアの、どやしつける怒声みたいな歌声が入ってくるところは最高だ。
ピンク・フロイドの音楽はいわゆるプログレッシヴ・ロックという、一見難解で、とっつきにくさを感じるかもしれないけど、技術系のインテリ野郎たちのジコマン芸術みたいなプログレバンドと違うのは、いつでも人間臭い叫びや、嘆きや哀しみの歌が溢れ出してくるところだ。

また、わたしはこの曲の歌詞にも、心を揺さぶられる。
45年も前に書かれた、今で言う「ニート」に向けて歌われた歌と言えるだろう。
実際のニートも、精神的ニートも、胸に刺さる人は多いはずだ。

カチカチと、時計の音が退屈を刻む
おまえはただ時間をムダに浪費する
部屋でごろごろしたり、近所をぶらつきながら
だれかが導いてくれるのをただ待っているだけ

日向ぼっこをしたり、部屋から外の雨を眺めたりするだけの日々
おまえは若く、人生は長いと思っていが
ある日、すでに10年もの歳月が過ぎたことに気づく
だれも導いてはくれなかったし
おまえはスタートの合図も聞き逃していたのだ
(written by David Gilmour, Nick Mason, Roger Waters, Richard Wright)

おれのことかよ…と身につまされる人もいるかもしれない。
わたしもそのひとりだ。

ゴールに向かって真っ直ぐ進んで行ければよいのだけど、ゴールがなんなのかわからないのが人生でもある。
明け方まで眠れずに、ゾッとするような徒労感を感じたりもする。
人生は楽なものではないな、とあらためて思うが、それでも前に進むしかない。

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