No.470 ジョイ・ディヴィジョン/ラヴ・ウィル・テア・アス・アパート (1980)

Unknown Pleasures (Bonus CD) (Reis)
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その470
Joy Division – Love Will Tear Us Apart

ジョイ・ディヴィジョンは76年にマンチェスターで結成され、79年にデビューしてた。
イギリスのポスト・パンクの代表的なバンドだ。

そして、とにかく暗い。
彼らはあの伝説の、セックス・ピストルズのマンチェスター・ライヴの40数人の観客の中の何人かであり、それをきっかけにバンドを結成したのである。
でもピストルズやバズコックスなんかのようなカラッと明るいパンクロックにならなかったのは、やはりフロントマンのイアン・カーティスのキャラのせいなんだろうか。

彼が書く絶望や孤独についての歌詞も暗いし、サウンドもそれに合わせたように古いイギリスの洋館の地下室で奏でられているような陰鬱な趣である。

実を言うとわたしはそれほど彼らの音楽に詳しくないのだけれど、彼らの音楽がその後ザ・スミスからレディオヘッドに至るまで、イギリスでひとつの暗渠みたいな流れをつくっていることはたしかで、リスペクトはしている。

彼らのレコードデビューは78年6月発売のEP盤だが、その半年後には、すでにNME誌の表紙を飾っている。まだヒット曲も無く、アルバムも作っていないのに。
PILのデビューも同時期だけど、このあたりはやはりロックシーンの激動の時代の急速な変化や狂騒を感じさせる。

1stアルバム『アンノウン・プレジャーズ』もインディ・チャートで1位を獲り、全英ツアー、ヨーロッパツアー、2ndアルバムの制作と、突然の成功による過密スケジュールが、もともと精神的に不安定だったイアン・カーティスの心身を蝕んでしまった。
80年5月、全米ツアー出発の前日に彼は首を吊って自殺した。

この曲は彼の遺作となったシングルで、全英13位と、キャリア最大のヒットを記録している。

歌われているのは、妻との関係や自身の状況に対する倦怠などで、ベーシストのピーターは「あまりに刺々しくて悪意に満ちていることに衝撃を受けた」と語っている。
しかしこの曲はイギリスのインディ・シーンでは永く愛されるアンセムとなったようで、2002年のNME誌においては、《史上最高のシングル曲》にも選ばれている。
おいおい。
NME読者、変わり者ばっかりか。

イアン・カーティスを失ったジョイ・ディヴィジョンは、残ったメンバーによって”ニュー・オーダー”と名前を変えて活動を続けた。
ジョイ・ディヴィジョンと変わらぬ陰鬱さは維持しながら、シンセや電子楽器を目いっぱい多用したエレクトロサウンドで人気を博したが、正直、わたしはこのバンドのことはよくわからないのである。