No.473 ラモーンズ/ボンゾ (1985)

Animal Boy
≪オールタイム・グレイテスト・ソング 500≫ その473
Ramones – Bonzo Goes To Bitburg

この曲は85年にシングルとして発表され、彼らの9枚目のアルバム『アニマル・ボーイ』に収録された。
シングルチャートではイギリスで81位、アメリカでは圏外と、まあヒットはしていない。

わたしは若い頃に彼らのベストアルバム『ラモーンズ・マニア』でこの曲を知って、大好きになった。
ラモーンズのソングライティングのスキルは、エイトビートのロックンロールにかけてはチャック・ベリーやジャガー&リチャーズにも引けを取らないほどのものだと思っているが、この曲もまたそんな彼らの見事な手腕を感じる。
特別なことを何もしていないにもかかわらず、特別な楽曲を創造するという魔法のようななにかを持った、史上最高のロックバンドのひとつだ。

“ボンゾ”というのはレッド・ツェッペリンのドラマーのことではなくて、ロナルド・レーガンが俳優時代に出演したB級映画に出てくる猿の名前だ。
当時、レーガン大統領に批判的な人たちは彼のことを”ボンゾ”と呼んで揶揄したらしい。

85年にレーガン大統領がドイツを訪ねたときに、第二次大戦における米独両軍の戦没者が眠るビットブルク墓地で献花したのだが、そこにはナチス親衛隊も一緒に埋葬されていたことから、批判する声もあったそうなのだ。この曲の原題「Bonzo Goes To Bitburg(ボンゾはビットブルクへ行く)」もそういう意味なのだろう。
ただしこの原題は現在なぜか変えられていて、「My Brain Is Hanging Upside Down(頭の中がごちゃごちゃだ)」になっている。

靖国神社問題と同じような批判なので、米国人戦死者のための献花なんだからべつにいいじゃん、なんてわたしなんかは思うのだけど、ラモーンズはレーガンを「ヒットラーみたいにだけはなるなよ」なんて揶揄しながらも、「TVにはうんざり、政治なんてちっともわからない、頭の中はごちゃごちゃだよ、どうにかしてくれ」と、なにが正しいかわからないってことを歌っているのかな、とも思う。

それなら今の時代でも通用するかもしれない。
まあなにしろ今の新聞はまるで左翼団体の機関紙みたいだし、テレビの報道も偏向がスゴいので、真実を知ることなんて期待もできないからだ。

この曲は2003年のアメリカ映画『スクール・オブ・ロック』でも使用されている。
バンドマンがニセ教師になって小学生たちにロックを教えるというコメディ映画だったが、ロック好きのあいだでは好きな人も多い作品だ。

この曲が使われるシーンは、その授業の過程を見せる、セリフなしで音楽だけのシーンだ。
下の動画はそのシーンをそのまま切り取ったものだ。
ロック好きならこれを見て胸が熱くならない人はいないだろう。

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